ウチムラサキ増殖技術開発のための分布調査
ウチムラサキは、かつて東播磨海域に大量に生息していた大型の二枚貝です。1960年代には1,000トンを超す漁獲量がありましたが、その後激減し、1990年代以降ほとんど漁獲されなくなりました。
この貝は漁業の対象になる以外にも、海水中の植物プランクトンを食べ、無機体の栄養塩(窒素、リン)を排出するため、海域の栄養塩環境を安定させ、近年被害が拡がっている養殖ノリの色落ち防止に役立っていたと考えられます。
こうしたことから、ウチムラサキの増殖技術の開発に取り組んでいますが、その試験研究の一環として、東播磨海域でウチムラサキの分布調査を行いました。その結果、ウチムラサキは、かつてより分布密度は減ったが、依然としてこの海域で優先する二枚貝であることが分かりました。また、礫(石ころ、貝殻)の多い海底に多く分布し、砂の多い海底には分布しないことも明らかになり、今後放流場所の選定や漁場造成のための重要な知見を得ることができました。