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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は水産技術センター 内水面漁業センター 主任研究員 中村行延が担当します。

コレゴヌス種苗量産技術開発

兵庫県の中山間地域では、アマゴやニジマスの養殖が行われています。しかし、近年需要の低迷や生産者の高齢化により、生産量が年々減少しています。そこで、淡水養殖業活性化の一助とするため、新しい養殖魚種としてコレゴヌスの普及を図る事になりました。

コレゴヌスは、東部ヨーロッパやロシアなど北緯50度以北の地域に分布するサケ科の魚です。日本には分布していませんでしたが、昭和50年に長野県に移入されました。現在では、地域特産の食用淡水養殖魚として、シナノユキマスという名称で親しまれています。

アマゴやニジマスは、卵も大きく種苗生産が比較的容易なため、養殖業者自らが採卵して種苗を生産しています。しかし、コレゴヌスは、卵が小さいためマス用のふ化盆が使用出来ず、孵化率も悪いため、内水面漁業センターでの試験が必要でした。平成17年度から本格的な取り組みが始まりましたが、当初はふ化仔魚までの段階で殆ど死んでしまい、配布出来るサイズまで育つものはごく僅かでした。その後、卵管理方法や孵化仔魚の飼育方法を改善し、平成20年7月には、平均全長8㎝の稚魚4,200尾を試験配布する事が出来ました。

   
左:産卵親魚(12月下旬頃採卵します)、右:採卵作業(良卵は半透明で黄色味を帯びています)

左:受精卵(受精後6日目)、右:円筒形のふ化器(水流で卵は絶えず動いています)

左:仔魚(2月下旬~3月上旬にふ化が始まります)、右:稚魚(7月頃になると配布サイズに成長します)