トップページへ

私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は水産技術センター 増殖部 主任研究員 川村 芳浩が担当します。

アサリ垂下式養殖技術の開発

兵庫県では、西播地域を中心に、アサリの垂下式養殖が盛んに行われています。

垂下式養殖は、従来の広い砂浜を区切って行う大規模で粗放的な養殖とは異なり、古いカキ養殖用の筏を利用して、そこに市販の浅いコンテンナに砂を入れてアサリを収容し、ロープで海中につるして飼育する方法で、海中の空間をうまく利用した小規模集約的な手法です。

この方法で養殖すると、計画的で安定的な出荷が望めるため、アサリ養殖の県内振興を目的として、その養殖技術の開発研究を行いました。

   
左:コンテナを垂下する筏、右:アサリを収容するコンテナ

【研究内容】

  1. 最適垂下水深等の検討
  2. 収容基質の検討(砂に代わる極力軽い素材)
  3. 天然アサリとのアミノ酸含量の比較

【結果】

1 最も適した垂下水深は?

水深1.5mでした。

   
左:垂下水深と重量の関係、右:垂下水深と生残率の関係

2 アサリを収容するのは砂がいい?

砂:アンスラサイト=1:1で混ぜると、最も成長が良かった。アンスラサイトは砂よりも遙かに軽いので、現場の業者さんの労力も軽減できます。

   
左:アンスラサイト(無煙炭)、右:砂に対するアンスラサイトの比率と成長

3 養殖アサリの味はどうか?

神戸女学院大学人間科学部 環境・バイオサイエンス学科の協力(分析)を得て、養殖アサリと天然アサリのアミノ酸含量を比較してみました。

   
左:グリシン(甘味) 、右:アラニン(甘味)
左:グルタミン(旨味)、右:アルギニン(苦味)

養殖アサリのアミノ酸含量は天然アサリと大差なく、高品質なアサリが生産できていました。