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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は森林林業技術センター 木材利用部 主任研究員 永井 智が担当します。

県産スギ材の材質把握と利用推進

「県産スギ材の材質を知り、利用する」ことを目的に、私が主担当となって取り組んでいる内容をご紹介します。

I  強度保証されたスギ構造材を生産、流通させるために

1.県産スギ材の強度的性質のばらつきを確認しました。

  1. 強度(たわみにくさ)は樹幹中心部から樹皮側に向かって増大します。
  2. 地上高の高い部位ほど、中心付近からたわみにくい性質を備えています。

2.スギが備えている強度を合理的に利用するための実証試験を行いました。

  1. 従来、価値の低かった2、3番玉の高い強度性能を有効に活用する方法を提案しています。
  2. 樹皮に近い部位のたわみにくい性質を集成材用の板等に活用する方法を提案しています。
  3. 非破壊的に強度を測定し、用途を決定する技術を普及しています。
   
左:スギ構造用製材品の強度(たわみにくさ)分布、右:スギ樹幹内の強度(たわみにくさ)分布

II より高強度の(たわみにくい)スギ構造材を生産、流通させるために

1.県産スギ材で安定生産が可能な梁桁用集成材のJASグレード(E75-F240)を明確にしました。

2.地域企業との連携により、ラミナ(挽き板)を圧密することにより強度を高め、それらを集成材の上下層に配置した高強度(E120-F330)の梁桁用集成材の生産技術を開発しました。

   
左:スギ圧密ラミナ複合集成材(:圧密ラミナ)、右:集成材の等級

III 安全、安心な構造部材としてスギ材を活用してもらうために

梁桁等、横架材へのスギ材の需要増を目指し、たわみにくさや接合強度の信頼性を高めるための技術整備を産官研の連携により進めているところです。

   
左:仕口の形状例(大入れ蟻掛け継ぎ)、右:横架材端接合部のせん断試験
左:接合部の検証、右:小試験体によるめり込み性能の検証

IV より多くの住宅部材にスギ材を活用してもらうために

内装材利用に向けた木材の調湿・断熱性能の実証試験を行い、リーフレットにより普及しています。