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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は森林林業技術センター 資源部 研究員 伊東 康人が担当します。

森林組合従業員の職務満足度を探る!

近年、森林組合の組織風土改革や人材育成が求められています。そこで、仕事への意欲や離職率と関係が深いと言われている「職務満足度」に注目してアンケート調査を行いました。一般的な森林組合従業員の「職務満足度」はどういった個人属性と関係しているのでしょうか?また、不満足および満足感を構成している要因は何でしょうか?

   
図1. 調査票の構造

調査票は、現在の仕事や職場に対する総合的な満足感を尋ねる総合満足度(大項目)、総合満足度に影響を及ぼすと考えられる個別満足度(中項目)、個別満足度に影響を及ぼすと考える項目(小項目)、個人の属性を尋ねるフェイスシートから構成されています(図1)。

   
左:図2. 総合満足度と属性の関係(全森林組合)、右:図3. 個別満足度の優先順位付け(全森林組合)

図2は、総合満足度を応答変数、各個人属性(年齢、勤続年数、結婚の有無、給与形態、仕事内容、年収、出身地、森林組合所在地)を説明変数とした回帰木の結果です。年齢、勤続年数、年収の各項目が総合満足度に影響を与えていました。

図3は、総合満足度に対する各個別満足度(仕事、人間関係、給与、昇進、経営方針、労働環境、教育、上司)の影響度を表したものです。縦軸が個別満足度の平均点(5点満点)で、横軸が総合満足度との相関係数です。平均点が高いほど満足感が高く継続すべき事項で、相関係数が高いほど継続および改善の必要性が高い事項になります。給与、経営方針、昇進が改善必須事項、人間関係が継続必須項目となったことから、個人評価のあり方や経営方針の浸透方法の改善、現状の良好な人間関係の維持が求められていることが示唆されました。

今回の結果を今後の森林組合指導に活かせればと考えています。