ガザミの疾病対策
ガザミは、本県瀬戸内海側、特に西播では、珍重されているカニです。このガザミ資源の回復や維持のために、ひょうご豊かな海づくり協会(栽培漁業センター)では、毎年500万尾の稚ガニが生産(種苗生産)され、県内各地に放流されています。
しかし、近年、種苗生産の途中で、細菌の感染による壊死症(細菌性壊死症)が多発し、思うように稚ガニの生産ができなくなっています。そこで、この病気を防除するための研究を行いました。
病気に罹ったガザミ幼生から、原因細菌を分離し、その細菌の種類や増殖特性を調べました。
原因細菌は、3%の塩分濃度、水温25~30℃で最もよく増殖することがわかりました。逆に、この塩分や水温をはずしてやれば、細菌の増殖を抑えることができることがわかりました。
また、この細菌の飼育池への侵入経路を調べた結果、ガザミ幼生の餌として与えている、アルテミア幼生という生物餌料の体表に付着した状態で、飼育池へ侵入していることがわかりました。
これらのことを利用して、ガザミの細菌性壊死症の防除のために、以下のことを行えば、有効であることがわかりました。
- 種苗生産は、極力23℃以下で行う。
- アルテミアのふ化用水は、塩分濃度を4~5%になるように、食塩で調整する。
- アルテミア幼生を、紫外線殺菌海水で、3~5分間洗浄してから、餌として与える。