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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は北部農業技術センター 畜産部 主任研究員 坂瀬 充洋が担当します。

但馬牛の繁殖農家のみなさん!暑熱対策は万全に!

但馬牛の繁殖農家(お母さん牛を飼っていて産ませた子牛を育てて販売する農家)の経営安定には、一年一産(毎年・同じ頃に子牛を生産すること)を実現して子牛生産効率を高めることが重要な課題の一つです。近年、分娩間隔(分娩から次の分娩までの期間)は短縮傾向ですが、平均410日と一年一産を達成していません。牛の妊娠期間は概ね285日なので、一年一産を実現するためには、分娩後80日以内に発情がきて受胎しなければなりません。牛における分娩後の発情や受胎には栄養面、飼養管理面及び人工授精技術面(牛はほとんど人工授精です)など多くの要因が関与していると言われています。

私の試験研究の目的は、繁殖成績を少しでも改善することであり、そのために、新しい人工授精法の開発、栄養及び飼養管理と繁殖との関係を研究してきました。今回は、飼養管理面の中でも、『暑熱ストレスと繁殖成績の関連』について述べます。

暑熱ストレスは牛にかかわらず家畜に甚大な被害をもたらします。乳牛では古くから暑熱ストレスと繁殖性の関連の試験が実施され、ほとんどの酪農家では暑熱対策が実施されています。一方、肉用牛においても最近は暑熱対策が実施され始めましたが、まだ十分とは言えない現状にあります。

そこで、暑熱対策(大型換気扇による送風)の実施が繁殖成績に及ぼす影響を検討しました。その結果、暑熱対策を実施した牛群の受胎率及び空胎日数(分娩から受胎までの日数:目標80日以内)は、対策を実施していない牛群に比べて改善されました(図1)。このことから、繁殖農家においても暑熱対策の実施は重要であることがわかりました。また、暑熱対策を実施した牛群における人工授精後の腟温ならびにストレスの指標の一つである血中コルチゾール濃度は低く推移したことから(図2,3)、肉用牛においても暑熱対策の実施により、ストレスの軽減が図られ繁殖成績が改善した可能性が考えられました。

今後は、試験成績をもとに繁殖農家への暑熱対策の導入を積極的に推進していきます。

   
写真 大型換気扇による暑熱対策
図1 暑熱対策の有無別にみた繁殖成績
図2 人工授精後の腟温の推移
図3 人工授精後の血中コルチゾール濃度の推移