早く収穫できるカンキツ「はれひめ」、「
淡路島はカンキツ類の栽培が盛んな地域です。主には温州みかんが栽培されていますが、淡路島特産の「ナルト」に代表されるいわゆる「雑柑類」も栽培されています。雑柑類では「ナルト」や「甘夏」が淡路島で古くから栽培されてきましたが、近年では「デコポン」の愛称で知られる食味の良い「不知火(しらぬひ)」(写真1)の栽培が増えていました。しかし他の産地でも増産が進み、現在は市場価格が低下傾向にあります。そこで、競合を避けるため、各産地では「不知火」など従来の雑柑類とは収穫時期が異なる品種を導入する動きがあります。
近年、「不知火」よりも早く収穫できる「はれひめ」(写真2)と「津之望(つののぞみ)」(写真3)という品種が新しく開発され、有望品種として注目されています。そこで、当センターではこれら品種を実際に栽培し、その果実調査を行い、淡路島への導入の可能性について検討を行っています。
【果実品質の概要】
- ○収穫期は、「はれひめ」、「津之望」ともに12月中旬まで収穫可能。
- ○果実の大きさは両品種ともに200g以下で「不知火」よりは小さい。
- ○果形は両品種ともに扁(へん)球(きゅう)で、果皮は収穫期に完全に着色。
- ○「はれひめ」の果皮はやや厚いが、軟らかく剥(む)きやすい。
- ○果汁については、糖度は両品種とも「不知火」より低いが、酸含量は両品種とも低く、酸抜けが良い。
- ○「はれひめ」は糖度がやや低いが、じょうのう膜が薄く、さわやかな食味で食べやすい。
- ○「津之望」は酸抜けが良く、また糖度がやや高かったため、食味は濃厚。
両品種ともこれまで淡路地域で栽培されていなかったが、年内収穫が可能な雑柑類として、導入が可能です。今後、改植や高接ぎ更新による農家への普及や、直売所での有利販売が見込まれます。