水稲湛水直播における点播技術(カルパー:土中播種、鉄:表面播種)の実証調査
集落営農組織のレベルアップに省力化(低コスト化)技術の導入は必要で、普及センターでは、水稲直播(湛水直播主体)技術を普及する動きが活発化しており、水稲直播面積は、H21以降水稲作付面積の1%を超えています。(H22:443ha、内湛水直播409ha)
カルパーコーティング種子による土中条播が主体ですが、機械メーカーの動きもあり、点播や鉄コーティング種子の導入が始まっています。鉄コーティング種子は表面播種で、技術面ではカルパーと異なります。そこで、慣行の移植栽培と点播技術におけるカルパー:土中播種、鉄:表面播種の技術的、経営的評価を行いました。
区の構成と面積
実証区1(鉄点播):22.8a、実証区2(カルパー点播):28a、慣行区(移植):25.8aの3区で実証調査を行いました。全区とも前作は水稲です。
使用機械は、K社の点播播種機「鉄まきちゃん」を多目的田植機にセットしました。慣行も比較のため、多目的田植機を使用しています。
生育調査、収量構成要素調査結果
使用した播種機の播種精度は、鉄点播区で高く、初期生育は遅れますが表面播種なので分げつは旺盛でした。収量、品質は3区(鉄点播、カルパー点播、移植)で大差はありませんでしたが、両点播区は経費削減、労働時間短縮で移植区よりやや劣りました。両点播区とも病害虫防除面、鉄点播は倒伏面で課題が残りました。鉄点播技術は、高度な技術を要しますが、コンバインの有効利用、移植時に比べ播種時の補助労力の大幅削減が可能で、今回実証した地域の広域集落営農法人において、多目的田植機導入による移植との組み合わせ技術として有望です。