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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は農業技術センター 環境・病害虫部 主任研究員 牧 浩之が担当します。

県下の農地土壌に蓄積される炭素の量

炭酸ガス等の温室効果ガスの増加による地球温暖化が、大きな話題となり、各方面で炭酸ガス排出量の削減や、森林のような吸収源の探索が進められています。農業では土づくりにより土壌中に有機物を投入することが、生産性の向上だけで無く、炭酸ガス吸収源として機能すると期待されています。このような状況の中、果たして県下の農地にはどれくらいの炭素が含まれているのか調べてみました。

まず県下各地の農地から深さ30cmまでの土壌を採取し、含まれる炭素量を分析し、得られたデータを土壌の種類別に集計し、土壌の炭素量を求めました。これに土壌の分布面積をかけて農地に含まれる炭酸ガス量を試算しました。

   

土壌別の平均炭素量を見ると、最も多く炭素を蓄積するのは火山灰を母材とする黒ボク土と呼ばれる土壌でした。県下に多い水田土壌ではグライ低地土>灰色低地土>低地水田の順となり、水の影響の強い(湿潤な)土壌ほど炭素が貯まりやすい事が判明しました。

   

県下の農耕地に含まれる炭素量は427.5万tと推計されました。これは新兵庫地球温暖化防止推進計画(改訂版2006年)で定めていた1990年から2010年の20年間の温室効果ガス削減目標71.6万tの約6倍に当たります。

   

農地が炭酸ガス吸収源として大きなポテンシャルを持っていることが確認できました。今後は、農業の土台である有機質資材施用などの「土づくり」 により、生産性を向上しつつ、地球温暖化対策にも貢献する技術の開発を目ざします。