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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は農業技術センター農産園芸部 主任研究員 山本 晃一が担当します。

ひょうごの新品種イチゴ姉妹~「あまクイーン」と「紅クイーン」

県内イチゴ生産者から、直売所販売に適した兵庫県オリジナルのイチゴ品種を望む声が高まりました。そこで、様々な品種・系統を交配し、選抜と試作を重ね、最終的に2系統を、甘くておいしい「兵庫I-3号(愛称:あまクイーン)」、果実が大きく、果色が濃い「兵庫I-4号(愛称:紅クイーン)」として品種登録を出願しました。

1 選抜方法

2007~2010年に、県内外の既存の品種及び場内育成系統を交配し、最終的に延べ216組み合わせのタネを蒔き、発芽したものから計5,777株を定植しました。

この中から、食味が良く果色に特徴のある系統の選抜を行い、最終的に2系統を選抜し(選抜率0.035%)、「兵庫I-3号」及び「兵庫I-4号」として品種登録を出願しました。

2 各系統の特性

(1) 「兵庫I-3号」(あまクイーン)

「とちおとめ」を母親として、「さがほのか」の花粉を交配した系統から選抜しました。糖度が極めて高く、ほのかな香りと共に「おいしさ」が一番のセールスポイントです。また、外観は丸みを帯びたかわいらしい三角形、さわやかな赤色と相まってとても「イチゴらしい」イチゴと言えそうです。

食味は、アンケート調査で「甘くておいしい」「とてもジューシー」と高評価でした。開花は早く初期収量が期待できる一方で、こまめな管理や気遣いを要する性質も少しあり、「ちょっとわがままなお嬢様イチゴ」といったところ。

   

(2) 「兵庫I-4号」(紅クイーン)

「さちのか」を母親として、「とちおとめ」の花粉を交配した系統から選抜しました。インパクトの強い真っ赤な大果で、甘酸調和した良食味、断面色の良さから直売の他、加工用途も考えられます。
 食味アンケート調査では「つやがあり、おいしい」、「大きい」という評価が多く、料理関係者からは、はっきり感じられる酸味と甘みが料理や加工にも向くとの評価がありました。果皮、果肉とも強く、肩の張った大型果実と、一度見たら忘れられないイチゴです。

   

3 愛称について

イチゴ姉妹の品種名は、あくまで「兵庫I-3号」と「兵庫I-4号」なのですが、もう少し親しみの持てる名前を!と、広く県内外の皆様に対し愛称を公募したところ、1,211件に及ぶ応募を頂きました。その中から、甘くておいしい前者に“あまクイーン”、ボリューム感たっぷりで真っ赤な後者に“紅クイーン”が選ばれました。

4 今後

両品種とも、生産許諾を受けた生産者さんにより、栽培、販売が始まっています。今のところ生産量が限られるため、生産者さんからの直接購入や、いくつかの直売所等で入手して頂くことになります。もしも見かけたら是非味わってみて下さい。