簡易設置型パッドアンドファンシステムで、夏場のトマト生産を安定化
【はじめに】
兵庫県のハウストマト生産現場では、害虫の侵入防止を目的として、非常に目の細かい防虫ネットが導入されています。しかし、これによりハウスの風通しが悪くなり、夏場はハウス内の気温が上がるため、①作業者の負担が増加する、②トマトの生育が悪くなる、③正常な果実の割合が低下して減収する、などの問題が発生しています。
そこで、岐阜大学をはじめとした関係機関との共同研究の結果、夏場のハウス内を安価にクールダウンできる技術として、簡易設置型パッドアンドファンシステム(以下、簡易P&Fと表記)を開発しました。
【技術の概要】
簡易P&Fは、網目状の冷却パッド、パッドへの給水システムおよびパッドへ風を送るファンで構成されます(図1)。本装置は、これらを一体化した簡易な冷房装置です。冷却パッドに水を滴下し、その後方からファンで送られた空気が、パッドを通過する際、水が蒸発することによって温度が下がり、冷房効果を得る仕組みです。これを、気化冷却といいます。
簡易P&Fを、20㎡当たり1台の割合でハウスサイドに設置し、日中に稼働させることで、ハウス内の気温を下げることができます(図2)。また、冷却パッドから水が蒸発することで加湿効果が得られ、過乾燥を防ぎます(図3)。これらにより、トマトの高温障害が回避されることで、増収効果が得られます(表)。
【具体的データ】
【今後の取り組み】
現在、現地導入のためのマニュアルを作成し、普及を進めています。
今後、トマト以外の品目や、本ぽ以外の育苗施設等での活用も期待されています。