アサクラサンショウ果実の品質的特長の解明
兵庫県北部の但馬地域では、アサクラサンショウ(図1)を用いた産地づくりが進められています。北部農業技術センターでは、アサクラサンショウのブランド化支援研究に取り組み、果実の品質的特長を明らかにしました。
「アサクラサンショウ」、比較系統として「サンショウ(赤芽系統)」、「ブドウサンショウ」、「ヤマザンショウ」の果実(6月初旬収穫)を用いて、外観品質(重量、色調)、破断荷重(硬さの指標)、香気成分について比較しました。
アサクラサンショウの果実重量は62mgで大粒であり、果皮色は鮮やかな緑色でした。アサクラサンショウ果実の破断荷重は10.3Nで、他のサンショウ系統に比べて軟らかく、佃煮加工適性に優れていました(図2)。
香気成分について調査した結果、サンショウ果実の香りは、リモネン、フェランドレン、ピネン、シトロネラール、酢酸ゲラニルから構成されていることがわかりました(図3)。アサクラサンショウの香気成分は、柑橘系の香り成分のリモネンの含量(32mg/100g新鮮重)が高く、他のサンショウ系統に比べて柑橘系のフルーティーな香りが特長でした(図4)。
アサクラサンショウの品質的特長を紹介したパンフレット、DVDを作成し、PRや情報発信を行うとともに、関係機関と連携を図りながら、品質的特長(色調、香り、軟らかさ)を生かした冷凍加工品や新たな加工品の開発に取り組んでいます。今後は、機能性評価や新加工技術開発に取り組み、高付加価値食品の開発や6次産業化支援を進めていきます。