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私の試験研究

当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。
今月は淡路農業技術センター畜産部 研究員 石川翔が担当します。

酪農家にとって適正な飼養管理を行い繁殖成績を向上させることは、生乳生産量の増加や後継牛の安定的な確保につながることから非常に重要です。繁殖成績や飼養管理の良し悪しを把握する手段の一つとして、「牛群検定」という仕組みがあり、月に1回飼養牛の乳量や、乳蛋白質率や乳脂肪率といった乳成分値を測定しています。

私達は、牛群検定を繁殖成績の向上によりよく利用してもらうために、分娩後の日数別にいくつかのステージを設けて、乳成分値と繁殖成績との関連性を検証しました。

牛群検定から得られる乳成分値のうち、乳蛋白率(P)と乳脂肪率(F)のバランスを示す P/F比が0.7を下回り代謝病の傾向を示す「潜在性ケトーシス牛の割合」と繁殖成績との相関は分娩後26‐50日の期間に最も大きくなり、潜在性ケトーシス牛が多い牛群ほど繁殖成績が悪くなりました(図1)。潜在性ケトーシスは分娩前の過肥や分娩前後のエネルギー不足が原因となることから、これらを予防し分娩後の牛の状態を向上させることが繁殖成績の向上につながります。

   

また、乳蛋白率が3%を下回る「エネルギー不足牛の割合」と、繁殖成績との相関は、分娩後200日~250日に最も大きくなり、エネルギー不足牛が多い牛群ほど繁殖成績が悪くなりました(図2)。このことから、分娩後200日頃までに牛群全体の栄養状態をしっかりと回復させることを目指した飼養管理を行うことで繁殖成績の向上につながると考えられました。