開発技術名

「ワカメ種苗生産技術の改良」

 

技術開発の経緯

 

本県の養殖ワカメ生産量は全国第4 位であるが、種苗のほとんどは県外産に依存している。しかし近年、温暖化等の影響により種苗の確保が困難になっており、生産者にとって深刻な問題になっている。また、漁期始めの高水温及び水温降下の遅れにより、本養殖開始後も芽の生育不良や流出が生じており、養殖ワカメの生産が不安定になっている。

 

開発技術の内容

 当センターが開発した「生産者自らが行えるフリー配偶体によるワカメの種苗生産技術」に関して、より簡便かつ効率的で安定した生産を図るため、以下の点に改良を加える。
ア 遊走子の採取は滅菌海水中で絵筆による洗浄を3 回行ってきたが、水道水を流しながら紙タオルで洗浄を行うことにより、作業がより簡便になり、他の藻類の混入も軽減させることができる。
イ 一般にフリー配偶体を拡大培養すると球状に生長するが、このままでは成熟に必要な光の刺激は表面にしか伝わらない。また、これまでは成熟状態も十分に把握しないまま雌雄の交配を行ってきたため、受精率や発芽率が低下する。そこで、球状の配偶体をミキサーで細断後、成熟促進培養を行い、顕微鏡下で十分に成熟したことを確認した上で交配させることにより、受精率や発芽率を向上させることができる。
ウ 大型水槽を用いた種苗生産では仮沖出し用のタネ枠を使用していたが、タネ糸の間に最大で1 cm 程度の間隔が空いているため、散布時に多くの配偶体がこの間をすり抜けて落ちてしまい、タネ糸に付着させるには大量に散布する必要がある。また、1水槽にタネ枠を100枚前後投入しているため、光量不足により発芽体が生育不良となる。そこで、ステンレス製の枠に間隔を空けずにタネ糸を巻き、その間をすり抜けて落ちる配偶体を減らすことで、種苗生産に必要な配偶体量が削減できる。さらに、1水槽当りの投入数も10 枚程度に抑え、十分な光量を与えることで、発芽体の生長促進を図ることができる。

 

期待する効果

 本改良手法は生産者自らが実施する種苗生産をより効率的かつ安定的にするものであり、現場への定着が進めば養殖ワカメの種苗確保や安定生産に大いに役立つものと期待される。

 

連絡先

 水産技術センター水産増殖部 078-941-8601 (作成者:岡本 繁好)