センターからひとこと

(当センターの所長、次長、各技術センター所長等が順に執筆します。)
今月は 畜産技術センター所長 冨永 敬一郎 が執筆しました。

平成22年度には日本国内で口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの発生があり、当センターでは、感染リスクに合わせた家畜伝染病防疫対策マニュアルへと見直しを行い、防疫対策の徹底を図りました。
 現在でも韓国や台湾など、近隣国での発生が報告されていますので、畜産ゾーンへの見学を制限すると共に、見学者には防護服、シューズカバーの着用を義務化しています。
 県内関係者の方々にはご不自由をおかけしますが、家畜、家禽防疫、特に但馬牛種雄牛、ひょうご味どり種鶏の大切さを理解して頂いて、ご協力をお願いします。

種畜、精液の供給事業

畜産技術センターでは「神戸ビーフ」や「但馬牛」といった全国的ブランドの維持発展と安定生産を支えるために、「但馬牛種雄牛」を一括管理し、凍結精液を作製して、県下の和牛農家に供給しています。
 過去最高の検定成績を示した丸宮土井の子牛が市場に出荷され、現在、肥育されています。いくつか共励会に出品されていますが、小ザシで肉質も良く、当初の期待に応えてくれると思っています。
 また、4月から福芳土井と照美土井に代わり、千代藤土井宮奥城が基幹種雄牛となりました。千代藤土井は能力検定で丸福土井、丸宮土井に次ぐ脂肪交雑成績を示し、宮奥城はG1グループの種雄牛として活躍が期待されます。この他にも能力検定成績の良い、あるいは遺伝的バリエーションを持った基幹種雄牛と待機牛が沢山いますので、有効に活用して頂きたいと思います。
 口蹄疫に対するリスク分散のために、平成22年4月末から年度内配付予定凍結精液の一部、5月から基幹種雄牛(丸福土井、菊西土井、照忠土井:平成23年6月現在)、待機種雄牛(芳悠土井、広美土井、鶴貴土井、宮萩正、照憲土井、茂初波:平成23年6月現在)を北部農業技術センターで分散管理しています。
 この他、種豚、豚精液や「ひょうご味どり」の種卵やヒナについても供給事業を実施しています

試験研究

従来から、畜産技術センターでは生産者の要望をふまえて試験研究課題を設定し、現場において各種実証試験を行い、生産者とともに効果の確認、技術の確立及び実用化を目指しています。現在の試験研究では、但馬牛の飼育管理技術や牛肉の肉質、特に美味しさに関する研究、豚、鶏への飼料米の給与試験を行っています。
 *詳しくは平成23年度試験研究一覧をご覧下さい。

農林水産技術総合センターでは中期試験研究計画が平成23年3月に策定されました。この計画に基づき、①農林水産物のブランド化に直結した技術開発、②食・自然環境の両面から県民生活の安全安心を支える技術開発の2つの方向に重点化し、生産者や消費者など県民のニーズに柔軟かつ的確に対応する研究を行っています。
 平成23年度から兵庫県が進める第2次行財政構造改革推進方策に沿って、組織や財政収支が見直され、試験研究機関については研究課題の一層の重点化を図るとともに、重点化研究分野へ機能を集中し、効率的な研究体制を整備して、試験研究課題に取り組むことになりました。主要畜産物については、品質向上や生産コストの低減等、競争力の強化につながる技術開発に重点的に取り組みます。
 畜産技術センターが担当する但馬牛肥育部門では肥育牛の産肉能力向上や生産コスト低減、高品質牛肉生産に向け、肉用牛の能力把握及び肥育技術を開発していきますので、ご協力、ご支援をお願いします。