農 技 第 2062 号
平成19年2月1日 各関係機関長様 (ファクシミリ施行)
兵庫県病害虫防除所長
平成18年度病害虫防除情報第3号について
このことについて、次のとおり発表したので業務の参考にして下さい。
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平成18年度病害虫防除情報第3号
1.病害虫名: ブロッコリーべと病(花蕾べと)Peronospora parasitica
2.病 徴:
(1)育苗期間中から見られ、葉に黄褐色の病斑を形成する。葉裏には周縁不明瞭な 汚白色斑、霜状のかびが生じる。
(2)感染苗を本圃に持ち込んで定植すると、葉表に黄褐色の病斑を形成するととも に葉裏に汚白色斑、霜状のかびが生じる(写真1、2)。
(3)花蕾では、初め水浸状、後に黒色不整形の病斑を生じる。花蕾直下の主枝や第1花 序の花柄に発生し、上からは見えないので収穫時になって初めて気づくことが多い。
(4)花蕾を切断すると、内部は黒色に変色している部分が見られる(写真3、4)。
(5)激しく発病すると、発病部の花蕾が変色、奇形になることもある(写真5)。
3.診断方法:
(1)黒褐色に変色した花蕾を切断し、ビニール袋に入れ15℃、照明下に置く。4~5 日後に切り口などから多数の胞子のう柄及び胞子のうが観察される(写真6)。
(2)激しく発病している場合、花蕾内部で胞子のう柄及び胞子のうが観察される事もあ る。
(3)本病は、下位葉には発生するが上位葉には発生が見られないので下位葉をよく観察 する。
(4)類似したものに、ホウ素欠乏症及び黒腐病がある。ホウ素欠乏症は葉柄及び主枝に かさぶた状の症状が見られるが、本病では見られない。また、黒腐病による花蕾主枝 の黒変は皮層の浅い部分にとどまることが多いが、本病は中心部まで黒変しておりそ こから分生子を形成する。
4.防除対策
(1)発生に注意し、発病初期から薬剤を予防的に散布する。この場合、薬剤が葉の裏面 に十分付着するよう留意する(表参照)。
(2)育苗ほ場での発病株は見つけ次第抜き取り、袋に入れて密閉するなど適正に処分す る。
(3)暖冬で気温の高い傾向が続くと予想されることから蔓延の虞があり、早めに防除対 策を実施する。
表 ブロッコリーべと病の防除薬剤
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| 薬 剤 名 |
希 釈 倍 数 |
使用時期/回数 |
リドミルMZ水和剤
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1000倍
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花蕾形成前まで但し、収穫21日前まで3回以内 |
| ランマンフロアブル |
2000倍 |
収穫3日前まで3回以内 |
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写真1 葉の病徴

写真2 葉裏の病徴(拡大)
写真3 花蕾の病徴

写真5 花蕾内部

写真4 切断した花蕾
写真6 花蕾に形成した胞子のう