目次
1 はじめに
2 民法上の任意の組合と権利能力なき社団(人格なき社団)
ア 権利能力なき社団
イ 民法上の任意の組合
ウ 民法上の任意の組合と人格なき社団の取扱い上の注意点
エ 民法上の任意の組合と人格なき社団の会計の違い
オ 民法上の任意の組合にも、人格なき社団の条件にも当てはまらない任意の組織の取扱いについて
カ 民法上の任意の組合と人格なき社団との特徴比較
キ その他参考事項
民法上の任意の組合を規定する民法第667条~688条の内容
任意組合の所得計算での基本通達の内容
普及組織は普及事業を推進する中で様々な形態の任意の組織に関わったり育成したりすることが多い。
その多くは、直売組織、加工グループ、研究組織、又は補助事業の受け皿としての組合組織(任意)である。
しかし、その任意の組織が法的行為を行う場合に、どういった形態の組織と判断され、その行為が組織及び構成員にどういう
影響を及ぼすかについては、議論が十分に行われていなかった。
そこで、このテキストではそれぞれの任意組織について、形態別に規定し、その法律行為に対してある程度まで言及を行い、
今後の普及活動に資することを目的として作成した。
普及組織の関わる任意の組織には、2つの形態があり、民法(第667条~688条)に規定される民法上の任意の組合(以下、任意組合と呼ぶ)と、権利能力なき社団(人格なき社団、以下、人格なき社団と呼ぶ)がある。
(厳密にいうと、これ以外に任意組合にも人格なき社団にも規定しにくい組織があるが、このことについては後述する)
これら任意の組織が、この2つの形態のどちらを選択するかというか、どちらの形態と判断されるかによって、この組織が行う法律行為の影響力は、全く違ったものになってくる。
そこで、これらの問題点を浮きぼりにするため、これらの法律行為を法的債務の発生行為に限定して述べる。
この場合の法的債務は、借入金等一般債務、所得税等債務、損害賠償等債務、労災補償等債務等とする。
この法的債務発生状況における債務の帰属主体およびその責任範囲等の課題は、任意の組織の自立発展に避けて通れないものである。
ゆえに、普及組織の関わる各グループ、組織がいかなる形態の組織であるのかを理解することは、大変重要なことになってくる。
いわゆる人格なき社団であり、以下の条件を満たしたものをいう。
(1) 共同の目的のために結集した人的結合体であって
(2) 団体としての組織を備え
(3) そこには多数決の原理が行われ
(4) 構成員の変更にもかかわらず、団体そのものが存続し
(5) その組織によって、代表の方法、組合の運営、財産の管理その他団体として主要な点が確定しているもの
(昭和39年10月15日最高裁判例)
上記条件を備えた組織は、人格なき社団と判断される。
これらの条件の内、(1)の条件は、ほとんどの組織成立の基本であるため、実際は上記(2)(3)(4)(5)の4条件を満たす任意の組織が「人格なき社団」と判断されます。
なお、組合契約に基づく組合でも、上記一定の用件を満たしたものについては、人格なき社団として、法人に準じて取扱われるので注意を要する。
・ 構成員とは独立した法主体として、社団法人に準じた取扱いがされる。
・ 権利義務については、構成員に総有的に帰属し、構成員各人は、人格なき社団の債務についての有限責任を負う。(各種説はあるが、現在までの判例からの判断)
これをわかりやすく説明すると、「人格なき社団であるところの任意の組織が、債務超過に陥っても、その債務は、組織の資産を限度として、それ以上構成員に責任を及ぼさない」ということになる。
この債務は、食中毒等損害賠償請求(これも債務)、又は労災事故による補償請求が確定したときも同様である。(もっとも、これは管理責任者等に対する責任追及といった別の心配事もあるが、この場合は、組織形態の問題とは別の次元の問題となる)
・ 代表者が行った事業遂行目的のための法律行為の効力は、人格なき社団に帰属する。
・ 構成員の増減があっても、その組織自体は同一である。
・ 収益事業から生ずる利益に対する所得税及び住民税は、法人所得税(法人税)及び法人住民税が課せられる。
その他、農業分野であっても事業税が課せられることになる。
・ 人格なき社団と構成員の間に雇用被雇用の関係が生ずる場合は、労災保険等社会保障制度加入が可能となる。
民法上の組合とは、民法第667条(組合契約)から第688条の内容に規定された組合をいう。
民法第667条(組合契約)
組合契約は、当事者が出資を為して共同の事業を営むことを約するに因りて、其の効力を生ず
(2)出資は、労務を以て其の目的と為すことを得
なお、組合契約に基づく組合でも、人格なき社団の一定の条件を満たしたものについては、人格なき社団として取扱われる。
基本的には、2人以上の事業主(当事者)が、共通の目的(利益の獲得、又は費用損失の負担)のため、出資(労力出資含む)をして共同事業を営む契約(諾成契約)を行うことによって作られた組合をいう。
したがって任意組合は、構成員(組合員)の個性が強く表れ、構成員の変更は予定されていない。よって、任意組合の団体性は緩いものになる。
上記の事柄より
・ 任意組合には、人格なき社団における代表者のような代表機関はない
したがって、一般的に代表者とされる業務執行組合員が締結する契約は、各組合員全員の名前で締結した契約ということになる。
・ 任意組合の権利は、各組合員が共有する。
(この場合の「共有」の内容は、「合有」である。このテキストにおける「総有」「合有」「共有」の概念については、後述する)
・ 任意組合の義務(債務)は、通常組合の財産から支払われるが、同時に各組合員もその義務(債務)に対しての無限責任を負う。
・ 任意組合の事業に係る所得は、損益分配割合又は出資割合に応じて配分され、各組合員の所得に合算され課税標準を構成し、所得税等が個々に課税される。
・ 任意組合の所得配分計算については、その他の事項の「任意組合の所得計算での基本通達の内容」を参照する。
上記特徴を、具体的事例で説明すると
組合の事業で生じた借金(金銭債務)は、各組合員個々の借金であり、その借金に対して個々の組合員は無限の責任が生ずるということである。
債務は、金銭債務のみならず、組合の事業から生ずる損害賠償請求(確定した分)という債務も同様である。
このことは、人格なき社団の構成員の有限責任に対して、大きな違いでもある。
任意組合の構成員は、1人1人が事業主であるというところから、その責任及び義務は、組合員個人に及ぶのである。
この点は、しっかり認識しておく必要がある。
まず、組合契約に基づく組合でも、人格なき社団の一定の条件を満たしたものについては、人格なき社団として取扱われることを
理解することが大切である。
なかには、人格なき社団として扱われるべき任意の組織に対しても、所得税等課税上有利に運ぼうとするあまり、任意の組合
としての解釈をし、取扱おうとする動きもあるが、これは極めて危険な対応といえる。
・・・良い所取りは許されない
任意の組合は、組合の事業に係る義務及び債務に対して、各組合員が無限の責任を負うということが理解されていない。
課税上の利点から、申告時には任意の組合を装い課税を逃れ、借入金過大又は事故等による予期せぬ債務問題が発生したときに、人格なき社団としての対応(つまり、構成員の債務義務に対する有限責任)で乗り切ろうというのは「実に虫の良い話」である。
・・・人格なき社団の条件を備えている組織は、人格なき社団として
行動すべきである。つまり、各組合員のリスクを最小限に止めるべきであるという観点から・・
人格なき社団は、人格なき社団なりの利点がある。
ひとつは、構成員の債務に対する有限責任の問題である。
ふたつめには、労災保険等社会保障制度に加入しやすい点が挙げられる。
任意の組合は、基本的に労災に加入できない。(仕事の内容によっては、1人親方型労災加入は可能)
この、労災保険によって、作業に従事する組合員ばかりでなく、たまたまパートに来ていた人も労災補償が可能となり、
いざというときの組織の存続が可能となる。
・・・任意の組合は、業種によっては各組合員が受けるリスクが大きすぎる。
組合に加入した各組合員のほとんどは、1事業主としての意識よりも1構成員としての意識の方が強くあらわれ、その行為の責任については考えたこともないのが現状である。
しかし、組合として雇用したパートが労働災害に陥ったときの損害賠償、食中毒による損害賠償、その他借入金等による債務返済義務等負債は、組合員1人1人の負担となるというのが、現実の法律なのである。
そのようなリスクを掛けてまで、課税上の利点だけで任意の組合を装うことはないのである。
大切なことは、関わる任意の組織が、真に人格なき社団なのか、それとも民法上の任意の組合に属するのかを見極めた上で対処することである。
課税上の利点だけで、軽率な対処をすることだけは、厳に慎まなければならない。
節税を目的とするならば、人格なき社団は人格なき社団なりの節税法があるのであるから、目先の利益にとらわれず、真に組織の自立を図ることが最も大切である。
(単位:円、万円、その他)
人格なき社団 | 組織形態の違い ← → |
民法上の任意の組合 ここに提示した民法上の任意の組合の会計は、出資に応じた利益配分と、労働量に応じた利益配分を、組合員と契約した態の任意の組合の会計であるということを前提条件にしています。 ただし、下記に掲げた会計システムはひとつの事例であって、同じ契約内容でも、異なる会計システムの構築は可能であり自由です。 さらに、各民法上の任意の組合ごとに、契約内容も、それに応じた会計システムも異なってくるとは思われますが、いずれの場合でも基本的な内容を押さえることが最も大切です。 |
||||||||
Dさん Eさん Fさん 以下 その他大勢 |
Cさん | Bさん | Aさん | 人格なき社団 | 出資割合 | 民法上の任意の組合 | Aさん | Bさん | Cさん | Dさん Eさん Fさん 程度の少人数 |
10% | 20% | 30% | 40% | ← | → | 40% | 30% | 20% | 10% | |
100 | 収益 | 100 | ||||||||
費用支出 ↓ |
||||||||||
各構成員の給与収入を構成します。 | 30 | 構成員に支払う役員手当・賃金・給与等 | 30 | 各組合員の事業所得又は事業収入を構成します。 (利益配分を労働量に応じて配分するよう、組合契約で定めている場合) |
||||||
6 | 11 | 7 | 6 | 各構成員が受け取る役員手当及び労働時間に応じた賃金・給与 ← 上記30の内訳 |
各組合員の労働量に応じた賃金等給与の各組合員の受取額 → 上記30の内訳 |
6 | 7 | 11 | 6 | |
20 | 構成員に支払う構成員から借りた機械等固定資産の賃借料 | 20 | 各組合員の事業所得又は事業収入を構成します。 | |||||||
5 | 2 | 10 | 3 | 各構成員が、団体に機械等を貸し付けている場合に、各構成員が受け取る賃借料 ← 上記20の内訳 |
各組合員が、団体に機械等を貸し付けている場合に、各組合員が受け取る賃借料 → 上記20の内訳 |
3 | 10 | 2 | 5 | |
30 | その他の費用 (構成員外に支払う役員手当、賃金給与、機械等固定資産の賃借料を含む) |
30 | ||||||||
20 当期利益 (法人税の対象利益) |
差引所得 | 20 団体としての課税対象利益にならない |
各組合員の事業所得又は事業収入を構成します。 当期利益の組合員別計算額 (利益配分を出資額に応じて配分するよう、組合契約で定めている場合) |
|||||||
各組合員の出資額に応じた利益の配分計算額 → |
8 | 6 | 4 | 2 | ||||||
各構成員の雑所得を構成します。 | 10 法人利益(未処分利益)の配当 |
構成員に支払う配当額 | 10 | 各組合員の事業所得又は事業収入のうち 実際に各組合員が受け取った現金額 |
||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 各構成員の出資額に応じた配当額 ← |
各組合員の出資額に応じた配当額 → |
4 | 3 | 2 | 1 | |
所得区分 | ||||||||||
法人税の対象となる。 | → | 20 | 法人所得 | 0 | ← | 法人所得は無い。団体としての所得20は、配分されるべき個人所得の集合と認識されます。 | ||||
5 | 2 | 10 | 3 | 事業所得又は事業収入 | 個人所得 | 事業所得又は事業収入 | 17 | 23 | 17 | 13 |
6 | 11 | 7 | 6 | 給与収入 | ||||||
1 | 2 | 3 | 4 | 雑所得 | 内訳 | ↑ 6+3+8 |
↑ 7+10+6 |
↑ 11+2+4 |
↑ 6+5+2 |
実は、こういった組織が結構あるのである。
仲良しグループ、補助金の受け皿又は農協漁協の部会として出発した直売組織、加工グループによくありがちな事例で、・・・・・
代表者はあるが、緩い団体性を示すのみで、代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していない。
それでは、民法上の任意の組合としての条件であるところの「組合契約」を結んでいるかといえばそれもない。
組合員の変更脱退もよくある。
会計システムが未整備にもかかわらず、調査にはいると、会計上の利益も財産もある。
それをあまり分配することもなく、資金繰りの安全性の観点からのみ留保してきた組織はあまりに多い。
こういった任意の組織が、人格なき社団に属するのか、それとも任意組合に属するのか、さらに、損害賠償等問題が発生したときにどういう扱われ方をするかは、まったくわからないのが現状である。
どこか、事例があればメール又は電話で連絡を請いたい。
また、これらの組織は、税務署の洗礼をあまり受けたことがない。
これら組織の形態が、税務署からどう判断され、利益(繰越利益を含む)に対してどういう扱いを受けるかについてもわからない。
各税務署には、裁量権もあれば、財務諸表がない経営体に対して「推計課税」の権限も与えられている。
このことを考えると、税務署ごとに、これらの組織がどのように判断されるかは予測がつかない。
先日、税務署に行きこのことを相談したが、税務署でもほとんど扱ったことがないらしく、「まー、人格なき社団でないなら、民法上の任意の組合と判断するか、構成員の代表者の事業と判断するかして、課税するより仕方ありませんね。」さらに、「民法上の任意の組合なら、その時その時の構成員の人数で所得計算割りをするしかありませんね。」というようなことであった。
この回答が正しいのか、正しくないのかはわからない。
しかし我々は、これらの組織がどういった形態の組織であるのかを明確にしなければならないし、その構成員にもその組織の一員であることの責任を自覚してもらわなければならない。
任意組合に近い組織は任意組合としての、人格なき社団に近い組織は人格なき社団としての条件整備を推進しなければならない。
その場合は、構成員全員で、人格なき社団と任意組合のメリットデメリットについてよく話し合い、今後の組織の形態及び構成を決定していくことが大切である。
また、こういった組織のほとんどは会計システムが整備されていないため、その整備もあわせて進めなければならない。さらに、これらの組織から構成員が受ける利益についての構成員の利益区分及び合計所得、課税標準等についての理解を深めさせていくことが大切である。
というのは、組織及び構成員の自立と会計システムの整備は、現在の任意の組織においては、ほとんど平行して進むからである。
さて、任意の組合について、構成員の団体債務に対する無限責任等、脅かすような話を進めてきたが、ケースバイケースである。
損害賠償、労災等のおそれのない団体については、任意組合でも人格なき社団でも大きな違いはないが、そのおそれのある団体については、人格なき社団としての条件整備を進めていくのが正しいと考えている。
とはいうものの、いままでファジィな状態で何事もなく済んでいた状態での指導は、困難を極めるのではないかと思われる。
「そんなむずかしいこと言うんやったら、もうやめや」という場合もあるだろうし、「今まで通りでええやん」といなされ、問題が発生したらその時になってから考える、という組織が大半であろうと思われるが・・・・・
それでも
「儲かったら、税金を納めるのは当たり前でっせ。会計はしっかりせなあきまへんで。組織としての責任は重いでっせ。」というように
仲良しグループならいざしらず、ある程度の規模の組織に対しては、きっちり指導をすることが大切である。
人格なき社団 |
任意組合 |
|||
共同の目的のために結集した人的結合体であって |
○ |
○ |
|
|
人格なき社団と判断される条件
|
団体としての組織を備え |
○ |
緩い団体性 |
|
そこには多数決の原理が行われ | ○ |
|||
構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し | ○ | 構成員の変更は予定していない。 団体=構成員1人1人(AさんBさんがいてこその団体である) |
||
その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているもの | ○ |
|||
民法上の任意組合とは |
基本的には、2人以上の事業主(当事者)が、共通の目的(利益の獲得、又は費用損失の負担)のため、出資 (労力出資含む)をして共同事業を営む契約(諾成契約)を行うことによって作られた組合をいう。 |
|||
組合契約 |
○ |
|||
構成員の個性・人数 |
一般的に構成員の個性は希薄で多人数 |
構成員の個性は濃厚であり少人数(1人1人の意見が反映されやすい) |
||
団体と構成員 |
団体の独立性 |
団体=構成員1人1人(団体として独立していない) |
||
構成員の立場 |
代表者等役員の立場にもなれるし、労働者の立場にもなれる。 |
事業主としての立場であり、労働者には成り得ない。よって労災保険にも加入できない。 |
||
代表者とその機関が行う |
業務執行組合員を決めた場合 |
|||
財産権の共同所有状態(広義の共有) |
||||
団体の財産 |
総有 |
合有 |
共有 |
|
団体の債務(借金・損害賠償・労災補償など) |
構成員は団体の財産を限度とした有限責任を負う。 |
構成員は団体の債務に対して無限責任を負う。 |
||
労災保険等社会保障制度の加入 |
○加入できる |
基本的に × |
||
不動産の登記 |
信託的に代表者の個人名で登記 |
基本的に構成員全員の共有名義で登記 |
||
団体及び構成員の所得計算と課税について |
団体の所得 |
団体の法人所得となる |
組合契約又は民法第674条の規定による分配割合に応じた、各組合員の所得金額として計算される。 |
|
課税主体 | 団体 | 個人 (任意組合の利益は、課税対象にならない。その利益を個人に分配計算をし、それを、個人所得として個人に課税 することになる) |
||
所得に対する課税 | 法人所得税 法人住民税 事業税 |
個人所得税 個人住民税 |
||
団体から構成員に支払われる労働報酬 団体の会計からみると |
費用になる | 費用になる | ||
団体から構成員に支払われる労働報酬 構成員の会計からみると |
給与収入となり、給与所得控除の対象となる | 事業所得(雑収入)になり、課税標準を構成する。 |
||
団体から構成員に支払われる配当 団体の会計からみると |
利益の配当であり費用にならない。 | 任意組合の損益計算の各組合員別明細表で、配当額を費用支出項目に入れて計算するかどうかの問題である。 | ||
団体から構成員に支払われる配当 構成員の会計からみると |
所得区分では雑所得となり、構成員の課税標準を構成する | 任意組合の損益計算の各組合員別明細表(分配割合に応じた)が到来した時点で判断する。 その明細表の中で、受取配当額が費用になっていれば、組合員は、その配当額を事業所得として扱い、 明細表での組合員別最終利益も事業所得として加算する。 その明細表の中で、配当額が費用扱いされていない場合は、受取配当額は事業所得とせず、明細表での組合員別最終利益を事業所得として扱う。 上記個人別明細書が到来する事例はあまりなく、その場合は、受け取った配当額を事業所得(雑収入)とするより仕方がない。 |
||
団体解散時の清算金が構成員に及ぼす影響について 団体を解散して、法人組織にする場合も同じ (各構成員の出資金以上の部分について) |
構成員の一時所得を構成する。 所得控除50万円とそれを超える部分の所得に対して2分の1計算の恩典あり。 |
償却資産があり、その部分についての譲渡益が生ずれば、構成員1人当たり50万円の譲渡所得控除が可能となる。 その償却資産が、取得から5年を経過していれば、譲渡所得控除50万円とそれを超える部分の所得に対して2分の1計算の 恩典あり。 しかし、譲渡出来る償却資産のない場合の任意組合では、なんの控除も恩典もない。 |
第12節 組合
第667条〔組合契約〕 | |
組合契約ハ各当事者カ出資ヲ為シテ共同ノ事業ヲ営ムコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス (2)出資ハ労務ヲ以テ其目的ト為スコトヲ得 |
|
第668条〔組合財産の共有〕 | |
各組合員ノ出資其他ノ組合財産ハ総組合員ノ共有ニ属ス |
|
第669条〔金銭出資遅滞者の責任〕 | |
金銭ヲ以テ出資ノ目的ト為シタル場合ニ於テ組合員カ其出資ヲ為スコトヲ怠リタルトキハ其利息ヲ払フ外尚ホ損害ノ賠償ヲ為ス コトヲ要ス |
|
第670条〔業務執行の方法〕 | |
組合ノ業務執行ハ組合員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス (2)組合契約ヲ以テ業務ノ執行ヲ委任シタル者数人アルトキハ其過半数ヲ以テ之ヲ決ス (3)組合ノ常務ハ前二項ノ規定ニ拘ハラス各組合員又ハ各業務執行者之ヲ専行スルコトヲ得但其結了前ニ他ノ組合員又ハ業務 執行者カ異議ヲ述ヘタルトキハ此限ニ在ラス |
|
第671条〔委任の規定の準用〕 | |
組合ノ業務ヲ執行スル組合員ニハ第六百四十四条乃至第六百五十条〔受任者の権利義務〕ノ規定ヲ準用ス |
|
第672条〔業務執行者の辞任・解任〕 | |
組合契約ヲ以テ一人又ハ数人ノ組合員ニ業務ノ執行ヲ委任シタルトキハ其組合員ハ正当ノ事由アルニ非サレハ辞任ヲ為スコトヲ
得ス又解任セラルルコトナシ (2)正当ノ事由ニ因リテ解任ヲ為スニハ他ノ組合員ノ一致アルコトヲ要ス |
|
第673条〔組合員の業務・財産の状況の検査権〕 | |
各組合員ハ組合ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有セサルトキト雖モ其業務及ヒ組合財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得 |
|
第674条〔組合員の損益分配の割合〕 | |
当事者カ損益分配ノ割合ヲ定メサリシトキハ其割合ハ各組合員ノ出資ノ価額ニ応シテ之ヲ定ム (2)利益又ハ損失ニ付テノミ分配ノ割合ヲ定メタルトキハ其割合ハ利益及ヒ損失ニ共通ナルモノト推定ス |
|
第675条〔債権者に対する組合員の損失分担の割合〕 | |
組合ノ債権者ハ其債権発生ノ当時組合員ノ損失分担ノ割合ヲ知ラサリシトキハ各組合員ニ対シ均一部分ニ付キ其権利ヲ行フコトヲ 得 |
|
第676条〔組合員の持分処分の制限、組合財産分割の禁止〕 | |
組合員カ組合財産ニ付キ其持分ヲ処分シタルトキハ其処分ハ之ヲ以テ組合及ヒ組合ト取引ヲ為シタル第三者ニ対抗スルコトヲ
得ス (2)組合員ハ清算前ニ組合財産ノ分割ヲ求ムルコトヲ得ス |
|
第677条〔組合債務者の相殺の禁止〕 | |
組合ノ債務者ハ其債務ト組合員ニ対スル債権トヲ相殺スルコトヲ得ス |
|
第678条〔任意脱退〕 | |
組合契約ヲ以テ組合ノ存続期間ヲ定メサリシトキ又ハ或組合員ノ終身間組合ノ存続スヘキコトヲ定メタルトキハ各組合員ハ
何時ニテモ脱退ヲ為スコトヲ得但已ムコトヲ得サル事由アル場合ヲ除ク外組合ノ為メ不利ナル時期ニ於テ之ヲ為スコトヲ得ス (2)組合ノ存続期間ヲ定メタルトキト雖モ各組合員ハ已ムコトヲ得サル事由アルトキハ脱退ヲ為スコトヲ得 |
|
第679条〔非任意脱退〕 | |
前条ニ掲ケタル場合ノ外組合員ハ左ノ事由ニ因リテ脱退ス 一 死亡 二 破産 三 後見開始ノ審判ヲ受ケタルコト(平一一法一四九本号全部改正) 四 除名 |
|
第680条〔除名〕 | |
組合員ノ除名ハ正当ノ事由アル場合ニ限リ他ノ組合員ノ一致ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得但除名シタル組合員ニ其旨ヲ通知スルニ 非サレハ之ヲ以テ其組合員ニ対抗スルコトヲ得ス |
|
第681条〔脱退組合員の持分の払戻し〕 | |
脱退シタル組合員ト他ノ組合員トノ間ノ計算ハ脱退ノ当時ニ於ケル組合財産ノ状況ニ従ヒ之ヲ為スコトヲ要ス (2)脱退シタル組合員ノ持分ハ其出資ノ種類如何ヲ問ハス金銭ヲ以テ之ヲ払戻スコトヲ得 (3)脱退ノ当時ニ於テ未タ結了セサル事項ニ付テハ其結了後ニ計算ヲ為スコトヲ得 |
|
第682条〔組合の解散事由〕 | |
組合ハ其目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能ニ因リテ解散ス |
|
第683条〔組合員の解散請求〕 | |
已ムコトヲ得サル事由アルトキハ各組合員ハ組合ノ解散ヲ請求スルコトヲ得 |
|
第684条〔解除の効力の不遡及効〕 | |
第六百二十条〔賃貸借の解除〕ノ規定ハ組合契約ニ之ヲ準用ス |
|
第685条〔清算、清算人の選任方法〕 | |
組合カ解散シタルトキハ清算ハ総組合員共同ニテ又ハ其選任シタル者ニ於テ之ヲ為ス (2)清算人ノ選任ハ総組合員ノ過半数ヲ以テ之ヲ決ス |
|
第686条〔清算人の業務執行方法〕 | |
清算人数人アルトキハ第六百七十条〔業務執行の方法〕ノ規定ヲ準用ス |
|
第687条〔組合員である清算人の辞任・解任〕 | |
組合契約ヲ以テ組合員中ヨリ清算人ヲ選任シタルトキハ第六百七十二条〔業務執行者の辞任・解任〕ノ規定ヲ準用ス |
|
第688条〔清算人の職務権限、残余財産分割方法〕 | |
清算人ノ職務及ヒ権限ニ付テハ第七十八条〔法人の清算人の職務、権限〕ノ規定ヲ準用ス (2)残余財産ハ各組合員ノ出資ノ価額ニ応シテ之ヲ分割ス |
〔組合の所得計算〕
(任意組合の事業に係る利益等の帰属の時期等) | |
36・37共-19 任意組合(民法第667条《組合契約》の規定による組合をいう。以下36・37共-20において同じ。)の組合員の
当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額は、当該組合の計算期間を基として計算し、当該計算期間の終了する日の属する
年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。ただし、当該組合が毎年1回以上一定の時期において組
合事業の損益を計算しない場合には、その年中における当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額を、その年分の各種所得
の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。 |
|
(任意組合の事業に係る利益等の額の計算) | |
36・37共-20 36・37共-19により任意組合の組合員の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する利益の額又
は損失の額は、次の(1)の方法により計算する。ただし、その者が継続して次の(2)又は(3)の方法により計算している場合には、
その計算を認めるものとする。 (1)当該組合の収入金額、支出金額、資産、負債等を、組合契約又は民法第674条《損益分配の割合》の規定による 損益分配の割合(以下この項において「分配割合」という。)に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法 (2)当該組合の収入金額、その収入金額に係る原価の額及び費用の額並びに損失の額をその分配割合に応じて各組合員の これらの金額として計算する方法 この方法による場合には、各組合員は、当該組合の取引等について非課税所得、配当控除、確定申告による源泉徴収税額の控除 等に関する規定の適用はあるが、引当金、準備金等に関する規定の適用はない。 (3)当該組合について計算される利益の額又は損失の額をその分配割合に応じて各組合員にあん分する方法 この方法による場合には、各組合員は、当該組合の取引等について、非課税所得、引当金、準備金、配当控除、確定申告による 源泉徴収税額の控除等に関する規定の適用はなく、各組合員にあん分される利益の額又は損失の額は、当該組合の主たる事業の 内容に従い、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得のいずれか一の所得に係る収入金額又は必要経費とする。 |