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事業は、人生最大の道楽である。(2002年)

 事業は人生最大の道楽である。
 これがわかっていない農業者のなんと多いことか。
 パチンコ、酒で家屋敷を取られたと言う話は、聞かない。
 競馬、賭事、異性関係でそこまで行くのは論外で、そんなに周りに見あたらない。(テレビの世界ではよくあるが)
 ところが、事業で家屋敷を取られたと言う話は、けっこうある。
 驚くのは、その当人たちに会ってみると、ごく普通の人に見える場合が多いし、一介のサラリーマンだったらなーっと感じられる場合が多いことである。
 事業のおそろしさは、普通の人が周りの人達に迷惑をかけまわるということである。
 妻、子供、親戚、友人、取引先、その他の関係者等々に、・・・・。
 これらの人の特徴、プロファイリングとして「多少の自己顕示欲」「自分で経理をしない、わからない」、この2つは絶対に挙げられる。
 人生最大の道楽をやりながら、「経理はわからない、やらない」なんて、小学生以下である。
 「自分で経理をしないわからない」といっても、税理士に任せている場合もあるので一概には言えないが、一度は自分自身で経理をし理解という過程を経てから、税理士に任せたかどうかが大切である。
 最も駄目なのは、「経理はようわからん、奥さん任せ。わしは大きな事をする。」といったタイプである。
 このタイプは、ちょっとこわい。
 自分の勝手な夢に、奥さんを付き合わせ、嫌なこと面倒くさいことは奥さんにさせるなんて、ちょっと・・・・と思ってしまう。
 これを、「ええとこどり」の人生という。
 しかし、事業が人生最大の道楽ということを考えたら、経営者たる者は、経理を行う理解するというのは、当たり前のような気がしている。
 
 700万円の外車を購入しただけで「道楽」と言われる中、700万円のコンバインと500万円のトラクターを購入すると「ようがんばっとる。」と称讃されるなんて、まったく間違っている。
 どちらも同じ「道楽」である。
 事業を止めたときは、外車の方が高く売れるかもしれない。
 「何も遊んで作った借金やなし、一生懸命がんばった結果出来てしもた借金やから・・」と、よく言い訳を聞く。
 しかし、「事業という道楽をやって、作った借金や」と心の中で叫んでいる。
 事業好きの夫よりも、パチンコ好きの夫の方が、あんがい無害なのかもしれない。
 事業なら、何でも許されるという感覚は、早く捨て去るにこしたことがない。

 そうそう、普及員も、自分の夢を農家におっかぶせて、事業を推進することだけは、厳に慎まなければならない。