The Fly Project
4 サシバエ対策技術
その1 発生場所を失くせ!
どんな対策を講じるよりも発生元を断つことが先決です。畜舎にはハエのエサになるものがたっぷりあります。成虫のエサである牛(血)を減らすことは出来ませんが、幼虫のエサ(フン、飼料残渣)は日常の管理で減らすことが出来ます。
幼虫(ウジ)は畜舎内外の取り残したフンが溜まったところで見つかります。また飼槽周辺のちょっとした隙間にも産卵します。肥育牛舎の牛房の隅で、サシバエの幼虫が大量に越冬しているのも観察されています(兵庫県立播磨農業高校生の研究報告より)。
上記のサシバエ発生チェックポイントに注意して、日常の清掃を心がけましょう。
サシバエのライフサイクルから、フンを1週間以上放置せず、適正な堆肥化処理を行えば、成虫になる前に駆除出来ます。
その2 薬剤散布プログラム
サシバエに対する薬剤散布は幼虫対策が基本です。成虫対策は一時的な効果(忌避効果含む)しか期待できません。またサシバエの誘引殺虫は現在のところ実用化されておらず、行動範囲の狭い幼虫対策が非常に効果的です。
幼虫対策には主に脱皮阻害剤(IGR剤)が用いられます。卵から孵化した後、3回の脱皮を経てサナギになるので、定期的(2週間間隔)に散布することにより、確実に幼虫を防除することが出来ます。幼虫はフンや飼料残渣を食べて成長するので、それらに薬剤をしっかりと混入させることが必要です。
散布方法
- 脱皮阻害剤(IGR剤)・・・薬剤を規定の量に希釈し、牛舎の周囲、パーラー舎の周囲、育成牛舎などに数㎝下まで浸透するようにしっかり散布する
- 成虫殺虫剤・・・ハエ、牛体へ直接噴霧(ETB乳剤等)
なお、ハエ幼虫用の脱皮阻害剤は複数のメーカーから幾種類も販売されています。それぞれの使用量・使用方法を確認し、使用基準を遵守して下さい。
薬剤散布試験を実施したフリーストール農家のAさんの事例(無散布区は未実施の5戸平均)
*脱皮阻害剤を計16回、定期的に散布(3月~10月*2回/月)
*牛の片寄り日数が13日/131日(7月23日~11月30日)に激減した!
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