普及現場における経営雑感 (2002)
とっても悲しい事実
農家の経営にタッチしていると、とっても悲しい事実に直面する事があります。
それは、人柄の良さが経営能力に直接結びつかないという事例を見たときです。
経営能力の高い人に人柄のよい人が多いのも事実ですが、その反対に、人柄がよいといって経営能力が必ずしも高いかというと、どうもそうはならないようです。
むしろ、甚だ疑問の場面が多すぎます。(別に数学の命題の問題をやっているわけではありません。)
普及センターにも地域にも協力的であり、温厚で地域からの信望も厚く、経営的にもしっかりやっているのではないかと思われる人の中には、実際に経営調査にはいると、基本的な部分が欠けていたり、自分の借金さえしっかり把握していなかったりで、びっくりすることがあります。
よく、普及員の仲間内で、あそこの経営はしっかりしているとか、よく儲けているとか、まことしやかに情報交換するわけですが、100%信用したことはありません。
自分の五感を使って、対象を観察しなければ、判断のしようがありません。
その場合、経営調査結果を加えた段階で、対象の全ての内容が明らかにされるのですが、それは、結構思いこみ情報を裏切る結果が多いようです。
話を元に戻しますが、良い人で経営能力のない人の特徴として、だんさん育ちで、機転が利かない、資金繰り(借金の怖さ)がわからないといったことがあげられます。
こういった人に対する指導法としては「ほめない。持ち上げない。ちゃんと叱る。きっちり指導する。」が最も適切と思われます。
なにしろ、金がかかってますので、その影響をもろに受ける人が多いのです。責任があります。
よく、人を育てるには「ほめて育てる」を基本するといいます。
また、そういった指導法で、マラソンで金メダルを取った事例もありますが、状況によると思います。
その手の能力のない人に「ほめあげる」をして走らしたら、心筋梗塞で死んじゃうかもしれないのです。
金がかかった勝負は、いやでもきびしくならざるを得ません。
まったく、私はいやな普及員です。