開発技術名

「水稲品種「きぬむすめ」の奨励品種(認定品種)採用」

 

技術開発の経緯

 奨励品種「キヌヒカリ」は、高温で乳白等の白未熟粒が発生しやすいため、近年の夏季高温の影響から等級の低下が問題になっており、栽培技術の改善だけでは品質の安定化が困難になっていた。平成19年南淡路普及センター等、同20年神戸、加西普及センター等から、代替あるいは補完となる高品質・良食味品種探索の要望提案が上がっていた。
 そこで、「キヌヒカリ」と同等あるいはそれ以上の良食味で高温耐性のある新たな品種の導入を平成15年より農林水産技術総合センター場内および現地において検討した。

 

開発技術の内容

 近畿・中国地域で良食味米として生産拡大が進んでいる「きぬむすめ」は、「日本晴」と比較して、以下の特性を有していた。
・出穂期・成熟期ともに「日本晴」より3日程度遅い、穂数の少ない中間型のうるち種である。
・収量性は同程度で、みかけの品質はややまさる。検査等級は調査7年間常に1等であった。
・食味は概ね「ヒノヒカリ」並みで良好である。
・収量性や品質など他の形質のバランスが良く、栽培適地が広い。
 「きぬむすめ」は生産者や実需者の評価も高く、本県における栽培適地も広く、補完品種候補として有望である。

 

期待する効果

 「きぬむすめ」は平成22年度から認定品種採用が決定した。そこで以下の効果が期待できる。
・「キヌヒカリ」の等級低下の著しい地域に導入することで、現在、60.5%となっている、うるち品種全体の1等米比率が向上する(目標は80%)。
・全農兵庫等と協力して、販売ルート、販売価格を確保して、生産、販売の促進が行われる。
・作付が集中している、「コシヒカリ」「キヌヒカリ」と「ヒノヒカリ」の間の早生熟期品種である「きぬむすめ」の導入により、集落営農組織や大型農家の作期分散が図れる。また、JA共同乾燥施設の効率的運営にも役立つ。

 

連絡先

 農業技術センター農産園芸部 0790-47-2412