春の味覚、“ホタルイカの塩茹で加工品”について、水産加工屋さんの“職人の技”を、技術センターの“ちょっと科学の目”で紹介します。
 ホタルイカは胴体の長さが5センチほどの小さなイカです(図左)。意外と知られていませんが、兵庫県はホタルイカの漁獲量日本一を誇っています。生鮮でも流通していますが、ほとんどが “塩茹で”、“沖漬け”、“佃煮”などの加工品になっています。このうち最もたくさん造られているのが“塩茹で”です。茹でるとさらに小さくなって半分ほどの大きさになってしまいます。

 

 

 底曳き網漁船が獲ってきたホタルイカは、浜で競りにかけられた後大急ぎで加工屋さんに運び込まれます。と言うのもホタルイカはとても鮮度低下がはやいからです。
 加工屋さんに運び込まれたホタルイカは沸騰した塩水で茹でられます。塩水の塩加減や茹で時間は加工屋さんによって微妙に違います。加工屋さんはその日のホタルイカの大きさや鮮度、出荷先などを考えて塩加減や茹で加減を決めます。塩水の塩分濃度は3~4%位、ちょうど海水くらいの塩加減が多いようです。茹でる時間は沸騰させた塩水にホタルイカを入れて漁期初めの小さいもので2分位、卵を持った大きなもので3分位です。このようにしてできたホタルイカの塩茹では、塩分が1~2%位でちょうど良い塩加減になっています。茹であがったらすぐに冷水(氷水)に漬けて冷やします。これは、余熱による水分の蒸発と表皮の色素の酸化を防いで、歩留まりと色つやを良くするとともに、微生物の繁殖を抑えて腐りにくくするためです。
 家で茹でる時は、水1Lに塩30~40g位(水5カップに塩大さじ2~2.5杯)の塩水を造って沸騰させ、その中にホタルイカを20~30匹ほど入れ、2~3分茹でます。ホタルイカをたくさん入れすぎないことと、最初は強火で、沸騰してきたら中~弱火にするところがこつです。我が家では、だし昆布を入れた塩水でしゃぶしゃぶみたいにして食べます。今まさに旬のホタルイカ。皆さんも自宅で一度茹でたてのあつあつを味わってみてください。

 

(お問い合わせ)但馬水産技術センター TEL:0796-36-0395