開発技術名

「生乳鮮度評価装置の開発」

 

技術開発の経緯

 当地域の酪農は北海道のような大生産地に比べ、処理工場に近く、新鮮な生乳を供給できる。しかし、これまで生乳の鮮度を客観的(科学的)に評価する方法はなかった。そこで、生乳加工現場で簡易かつ安価に活用可能な装置を試作し、生乳鮮度評価のため、搾乳当日の生乳を小分けし冷蔵保存し、5日間にわたり12時間間隔で近赤外線スペクトルを測定して、生乳保存時間の予測と、保存日数の識別を行い、その精度を検証した。

 

開発技術の内容

ア 装置は、容積350mL程度の円筒形である。測定面に波長の異なる16種類の単一LED光源を円形に配置した簡易分光装置である。測定時には生乳浸漬測定用アタッチメントを測定面に装着し、シャーレ等に貯留した生乳に浸漬する。
イ 生乳保存時間の予測精度は、決定係数0.73、標準誤差16時間であり、搾乳時間のばらつき約12時間を考慮すると、保存時間の予測が可能なレベルである。
ウ 生乳保存日数の識別精度は正答率で97%であり、保存1日目生乳に対する保存2~5日目生乳の識別精度を表す指標値が日数経過に伴って大きくなっており、良好な識別モデルである。
エ 近畿エリア375戸の酪農家バルク乳を2回に分けて、戸別に採取後、生乳検査所で冷蔵保存し、24時間間隔で3日間、開発装置で測定した。経過日数の識別精度は1回目64%、2回目75%であり、多様な飼育環境の生乳の鮮度を識別できる。

 

期待する効果

 生乳の「新鮮さ」をアピールすることで需要拡大、ブランド化、高付加価値化につながる。

 

連絡先

 淡路農業技術センター畜産部  0799-42-4880 (作成者:生田 健太郎)