開発技術名

「リン酸集積土壌におけるホウレンソウ、コマツナのリン酸減肥指針を作成」

 

技術開発の経緯

 本県の葉物野菜栽培ほ場では、土壌可給態リン酸が施設を中心に著しく集積しており、生産性のみならず品質の低下も懸念されている。また、近年の肥料価格の高騰や、環境への配慮からも施肥量の削減が求められている。そこで安全安心で高品質な野菜を安定生産するために、リン酸集積土壌を対象とした葉物野菜ほ場のリン酸減肥指針を検討する。

 

開発技術の内容

ア 可給態リン酸含量が10~180mg/100gの土壌を調整し、リン酸と葉物野菜(ホウレンソウ、コマツナ)の生育量の関係を見ると、過剰なリン酸は葉物野菜の生育を抑制する。
イ 可給態リン酸をほとんど含まない(0.6mg/100g)土壌では、両品目(ホウレンソウとコマツナ)共にリン酸施用量が5kg/10aまでなら、施用量の増加に伴い生育量も増加するが、それ以上施用してもリン酸の肥効はわずかしか認められない。
ウ ホウレンソウ、コマツナは、可給態リン酸が少ない土壌で利用されにくいとされるAl型リン酸等も吸収できる。

 

期待する効果

 ホウレンソウとコマツナ栽培土壌におけるリン酸減肥指針として、土壌中の可給態リン酸含量(mg/100g風乾土)に応じて、リン酸施肥量を、それぞれ次のように減ずることが期待される。
可給態リン酸含量0~50(mg/100g風乾土)→リン酸施肥量は慣行
    同     50~80(mg/100g風乾土)→慣行の1/2
    同     80~100(mg/100g風乾土)→慣行の1/4
    同     100(mg/100g風乾土)以上→施肥は不要。
注1:この減肥指針は灰色低地土、黄色土に適用できる。
注2:可給態リン酸はトルオーグ法による。

 

連絡先

 農業技術センター農産園芸部 0790-47-2423