開発技術名
「(R3)イオンビーム照射による養殖ノリ高水温耐性株の選抜方法」
技術開発の経緯
本県のノリ養殖は、近年、秋から初冬にかけての水温降下の鈍化により養殖の開始が遅れ、年内生産量が減少していることから、行政機関や生産者から高水温耐性品種の作出が強く望まれている。今回の技術開発では、比較的短期間で効率よく行うため突然変異育種に取り組み、人為的に変異を誘発する方法としてイオンビームを用いた。イオンビームは、従来のエックス線やガンマ線に比べて多種多様な変異体を得やすく、変異率も高いとされる。
開発技術の内容
イオンビーム照射による養殖ノリ(スサビノリ)の高水温耐性株は以下の方法で選抜できる。
ア 複数の品種の糸状体を成熟させる。
イ 突然変異誘発用として理化学研究所が独自に開発した生物照射装置を用いて、成熟糸状体に鉄イオンまたはアルゴン
イオンを30gy照射する。
ウ 照射糸状体から殻胞子を放出させて、25.0~26.0℃で25日間培養し、形態異常が比較的少なく、生長の良い葉状体
を選抜して糸状体を得る。
エ 糸状体から殻胞子を放出させて元株との生長比較試験を24.0℃で25日間行い、明らかに元株より良い生長を示した株
を高水温耐性株として選抜する。
期待する効果
高水温耐性品種として生産現場に導入できれば、本県ノリ養殖生産量の安定が見込まれる
連絡先
水産技術センター 水産増殖部 078-941-8601(作成者:岡本繁好)