開発技術名
「Tajima TAPOSの設計・利用技術の強化(木造住宅から非住宅建築物まで)」
技術開発の経緯
木造軸組工法の在来仕口では、梁の高さが高くなっても、力を伝える加圧・支圧面の面積が一定であるため、仕口耐力がほとんど変わらない。一方、Tajima TAPOS加工仕口(特開2014-066129)では、梁高さが高くなるほど、力を伝えるテーパー部分の加圧・支圧面積が大きくなるため、理論上の耐力も増大する。すなわち、比較的大きな断面の梁桁材を用いる非住宅建築物において、TAPOSの一層の導入効果が予測される。そこで、TAPOSの加工ラインを、従来よりも大きな梁桁材(幅105~180mm、高さ150~600mm、長さ9mまで)が加工できるように改良し、以下の技術を開発した。
開発技術の内容
適用範囲を拡大したTAPOS加工仕口は、小断面(幅105×高さ150mm)から大断面(幅180×600mm)へと、断面寸法の増大とともに、設計用せん断力が増大(15.8kNから52.6kN)するものである。これは、小規模の木造軸組工法住宅から中規模の非住宅建築物に使用される横架材について、様々な断面寸法ごとに、必要とする設計用せん断力を満足する値である。
TAPOS加工仕口の耐力を予測するために開発した試算式は、横架材の断面寸法ごとに、凸部のせん断耐力と凹部の支圧耐力を求め、その小さい方の値を設計用せん断力とするものである。この試算式により、従来の検定式(凸部のせん断耐力のみから設計用せん断力を求める)よりも、精度良く、設計用せん断力を試算することができる。
期待する効果
中規模公共施設等の非住宅建築物を想定した場合においても、Tajima TAPOSは十分な仕口耐力を発揮すること、梁受け金物等に耐力を依存する必要がないこと、が明らかになったことで、本技術のさらなる利用推進、ひいてはスギ横架材の「現し*」での利用推進が期待できる。
*:材を壁や天井の中に隠さず、化粧性の高い部材として室内空間から見える状態で使用すること
連絡先
森林林業技術センター木材活用部 0790-62-2118 (作成者:永井 智)