開発技術名
「(R3)品種特性に応じた培地温の局所的管理法によるイチゴ複数品種の同時栽培」
技術開発の経緯
イチゴは栽培特性に品種間差が大きく、本県開発の新品種でも、既存品種とは温度等、管理方法が異なり、品種普及の障壁ともなっている。そこで、これまでに開発した高設栽培装置の培地への送風冷却や培地加温技術の応用による、複数品種同時栽培について検討した。
開発技術の内容
ア 「紅クイーン」など、花芽分化のための低温要求性が高い品種に対して、高設栽培装
置内のコルゲート管へ送風し、培地から気化熱を奪って温度を低下させることにより、
定植後に分化する腋果房の開花の遅れやばらつきを回避できる。
10a当たり導入コストは、パイプやダクト類など約2万円+3ベッドに1台程度の送風
機代(兵庫方式10a標準配置の場合10台×約1万円)=約12万円である。
イ 「あまクイーン」など、厳寒期に草勢が低下しがちな品種において、高設栽培装置
内のコルゲート管に温床線を設置し、培地温を高めることで、この品種のためだけに特
別にハウス全体の気温を高めることなく、厳寒期の草勢維持、回復を容易とする。この
様な品種では従来から利用されている電照技術との併用により、安定的な効果を得るこ
とができる。培地加温にかかる10aあたりの導入コストは、温床線とサーモ等で、約17
万円である。
ウ 本開発技術は兵庫方式高設栽培装置を対象としており、その他の方式への適用を考え
る場合には、小規模での予備導入など、十分な事前検討を行うことが望ましい。
期待する効果
同一ハウス内での局所的な培地温管理により、生理特性の相違が大きい複数品種の栽培が容易となるため、作付け品種の多様化、県育成品種の栽培普及促進につながる。
連絡先
農業技術センター 農産園芸部 0790ー47-2423 (作成者:山本 晃一)