開発技術名
「(R3)ブドウ着色期の根域冷却が樹体生長と果実品質に及ぼす影響」
技術開発の経緯
本県のブドウ栽培の約9割を占める黒色系品種では、近年、夏季の極端な高温により、着色不良等の果実品質の低下が頻発し問題となっている。このため、高品質安定生産が可能な夏季の高温対策が求められている。そこで、着色不良が発生する高温環境をハウスで再現し、根域冷却がブドウポット樹の生長や果実品質に及ぼす影響について検討した。
開発技術の内容
ア 7月29日~8月23日の高温管理した施設内で、ポット樹(25L容)の株元に被覆
した麻マット(1㎝厚)をタイマーかん水(3.6L、毎日17時)で湿潤状態にし、小型フ
ァン(12V・プロペラ径10㎝)で24時間送風(以下、「麻マット送風」)するこ
とで、地温(深さ5㎝)が無処理区と比べ日平均で約1.5℃低下する。
イ 麻マット送風によりブドウ樹(2年生)全体の新鮮重は無処理と比べて約10%増加
し、特に葉重が増加する。葉の光合成蒸散速度や葉色値に対する影響はみられな
い。
ウ 果実着色期(7月下旬から8月上旬)の日平均気温が露地と比べ約1.5℃高いハウス
内において、麻マット送風区の果皮色は、無処理のカラーチャート値6.0(赤熟
れ)に対し、8.2(健全)となり着色が改善する。
期待する効果
近年頻発する夏季の極端な高温による、果実の着色不良等の品質低下対策につなげられる。
連絡先
農業技術センター 農産園芸部 0790ー47-2424 (作成者:黒田 英明)