開発技術名
「(R3)イネばか苗病菌の薬剤感受性低下に対応した種子生産各段階へ適用する種子消毒法」
技術開発の経緯
1990年代以降、イネばか苗病は新規種子消毒剤の導入により、発生が抑えられてきた。しかし、その感受性検定は兵庫県内では近年行われていなかった。そこで、県内で長年使用されているペフラゾエート剤(Pf) および他県で使用実績のあるイプコナゾール剤(Ip)について、薬剤添加培地による検定を行った結果、県内から採集したイネばか苗病菌株に対してPfの感受性の低下が認められた。この結果を受けて、Pf (商品名:ヘルシード)乳剤、銅(C)・フルジオキソニル(Fl)・Pf (以下C+Fl+Pf、商品名:モミガードC)水和剤及びIp・C(以下Ip+C、商品名:テクリードC)水和剤の感受性検定を生物検定で行った。
開発技術の内容
ア 地域や品種が異なる代表菌株12菌株を供試した生物検定(種籾の徒長抑制試験)の結果では、Pf乳剤の
防除効果が低下している。一方、C+Fl+Pf水和剤とIp+C水和剤は高い防除効果がある。
イ 防除効果が低下している種子消毒剤Pf乳剤を推奨から外して、C+Fl+Pf水和剤、Ip+C水和剤を推奨する
と共に、原原種、原種においては温湯消毒との併用を推奨する。
ウ ばか苗病防除に高い効果を示す薬剤がC+Fl+Pf水和剤、Ip+C水和剤の2剤だけである現状から、両剤の
感受性低下を避けるため、種子生産ではC+Fl+Pf水和剤を、一般栽培ではIp+C水和剤を交互に用いる。
期待する効果
薬剤感受性の低下を回避するとともに、イネばか苗病に対応した種子消毒の実施により、病害発生抑制に寄与する。
連絡先
農業技術センター 病害虫部 0790ー47-1222 (作成者: 松本 純一)