開発技術名
「(R3)タマネギの休眠・萌芽条件の解明に基づく冷蔵工程管理基準」
技術開発の経緯
タマネギ収穫機、ピッカーの普及、通風乾燥技術の開発等により、収穫の開始から乾燥が終了するまでの期間が短縮された。その一方で、JAの集出荷施設や冷蔵施設では前進化した荷受けへの対応が間に合わず、JAの施設内で滞留し、出荷前の萌芽や発根などの不良球の発生が問題となっている。そこで、タマネギ収穫後の休眠・萌芽の条件を検討し、JA施設での荷受けから冷蔵工程までの管理基準を明らかにした。
開発技術の内容
【休眠・萌芽条件】
ア タマネギ中生品種「ターザン」、晩生品種「もみじ3号」は、7月下旬には自発休眠が終了しており、5
~21℃の広い温度範囲で萌芽が促進され、とりわけ12℃が最も強く、8月下旬には萌芽葉長20mmに達す
る。
イ 27℃以上では休眠が継続され、伸長は全くみられない。しかし、25℃以上では黒かび病が多く発生す
る。
ウ 5℃以下では萌芽が抑制され、低温ほど強く抑制される。鱗茎の凍結温度は-2~-3℃のため、冷蔵庫の設
定できる最低温度は-1℃である。
【冷蔵工程】
ア 乾燥が終了したら、滞留することなく順次冷蔵庫へ入庫する。
イ 本格的な冷蔵前の予冷期間中は、5℃以上の温度帯はできるだけ短くし、1日に1℃
ずつ徐々に庫内の温度を0℃まで下げる。
ウ タッピングマシンによる根葉切りは、腐敗球の混入があると、首部を装置で切る際
に他の球に病原菌が感染し、その後の貯蔵中に腐敗球が増加する危険性が高くなる。
そのため、タッピング後は冷蔵せずに速やかに選果・選別、出荷する。
期待する効果
冷蔵工程管理基準の運用により、冷蔵タマネギの歩留りが向上し、安定的に淡路島タマネギの長期供給が可能となる。
連絡先
淡路農業技術センター 農業部 0799-42-4880 (作成者:小林 尚司)
北部農業技術センター 農業・加工流通部 079-674-1230 (作成者:小河 拓也)