開発技術名

「良質な心去り二丁取り平角材の生産技術」

 

技術開発の経緯

 平角材の二丁取りは、1)単価が比較的高水準な平角材を1本の丸太から2本生産できること、および2)心持ち材と比較して乾燥割れが生じにくいことから、丸太の価値歩留まりを高める製品として製材業者から需要の拡大が期待されている。そこで、大径化するスギ丸太から高付加価値な心去り二丁取り平角材を生産するために、製材から乾燥仕上げ材に至るまでの諸品質(曲がり、反り、材面割れ、重量変化)を追跡し、良質な心去り平角材を生産するための技術開発に取り組んだ。なお、乾燥機を持たない製材工場でも量産可能な技術の開発を目指し、乾燥は天然乾燥(約1.5~2年間)により行った。

 

開発技術の内容

 良質な心去り二丁取り平角材を生産するための方法は次の通りである。1)生材製材当日、直材(目安として長さ4mに対して矢高3mm以下)に製材する。製材時に曲がりが残存した場合、乾燥過程でその曲がりを低減させることはきわめて難しいためである。2)幅広面の反りは乾燥に伴って増大するが、大きくとも幅30cmに対して3mm程度であり、モルダー加工により除去する。3)モルダー加工機前後の製材送り台は製材長さ以上の長さを確保する。4)送りローラーによる材押さえ圧を小さくし、残存する曲がりを除去する。5)モルダー加工は2回通しで仕上げる。6)加工スピードの遅さ(例として約1.5~1.7m/分)は材表面の仕上がり状態を良くする。

 

期待する効果

 以上のような工程により生産した仕上げ材では、材面割れはほぼ認められないか、至近距離でわずかな割れが視認できる程度であった。天然乾燥材は材色も良く、試作した心去り材は需用者から製品として高い評価を得ている。生産者(製材業者)の供給意欲、需用者(プレカット業者)の採用意欲ともに高いため、当地域での心去り材の流通開始、さらに大径材の需要拡大が期待できる。

 

連絡先

 森林林業技術センター木材活用部 0790-62-2118 (作成者:永井 智)