開発技術名

「ウチムラサキ着底稚貝飼育方法」

 

技術開発の経緯

 かつて東播磨海域に多量に分布していた二枚貝のウチムラサキは濾過食性ベントスとして珪藻類を摂餌するとともに、養殖ノリに必要な溶存無機態の窒素、リンを排出するので、ノリの色落ちを防止し、健全な漁場環境の維持に重要な役割を果たしていると考えられている。しかし近年ではその資源量は激減しており、資源復活が望まれている。また、ウチムラサキ増殖には種苗生産が不可欠であるが、着底初期における稚貝の大量斃死が課題であった。そこで、その克服のための技術開発に取り組んだ。

 

開発技術の内容

 ふ化後約14日で、浮遊期から着定期に入った稚貝を、幼生飼育施設に収容し、水中ポンプで、餌料懸濁液を循環させることにより、1日1回全換水と約30分の干出28日で、着底稚貝飼育は、ほとんどの個体で水管形成が認められるまで成長した。また、砂、貝殻粉末、貝化石粉末を着底基質として加える必要が認められ、基質に貝殻粉末を用いると、濃縮パブロバのみを餌料としても、生残率が高かった。

 

期待する効果

 兵庫県では、殻長10mmサイズの種苗数十万個の量産化が可能になる。

 

連絡先

 水産技術センター水産増殖部 078-941-8601