開発技術名

「養殖ノリ「ひょうごはりま薫黒」(品種登録出願)」

 

技術開発の経緯

 本県の瀬戸内海域では多種多様な漁船漁業や養殖業が営まれているが、そのうち生産金額の約40%がノリ養殖となっており、本県は全国有数のノリ生産地となっている。しかし、近年、海水中の栄養塩が低下し、ノリの色落ち現象に伴う乾海苔の品質低下や生産量の減少が頻発するようになっている。
 このため近年、ノリ生産者からは、漁場の栄養塩環境の改善とともに、養殖ノリの安定生産のための優良品種の開発が要望されてきた。
 一方、ノリ養殖の作柄は天候や漁場環境によっても大きく影響され、安定した品種の育成ができなかったことなどにより、これまではほとんど品種登録は行われて来なかった。しかし、近年、韓国や中国でも日本の養殖株が利用されてきており、また、本県のノリづくりの優位性の確保という点からも、新たに開発された品種については、品種登録を進めていく必要性が出てきた。
 こうしたことから、「兵庫ノリ」持続的生産に向けた地域適合品種の開発(H16-H20)で兵庫漁連兵庫のり研究所を協力機関として優良品種の開発に取り組み、H20年度には兵庫漁連と共同研究契約を締結し、品種登録も視野に入れて共同研究を進めてきた。

 

開発技術の内容

 今回育成した「ひょうごはりま薫黒」は明石市二見地区で、これまで養殖されていたノリから選抜、育成した品種であり、全国標準株U-51株を比較に用いて野外試験と室内培養試験を行った結果、①生長が速い。②葉厚がある。③成熟が遅い(養殖期間が長くなる)。④色調は濃い傾向が認められた。
 平成21年6月1日付けで品種登録出願を兵庫漁連と共同で行い、平成21年11月30日に品種登録出願公表がなされた。

 

期待する効果

 今回育成された「ひょうごはりま薫黒」は、県産ノリの用途として主力である色のある業務用乾海苔の安定生産に寄与するものと期待される。

 

連絡先

 水産技術センター水産増殖部 078-941-8601