開発技術名

 AIを活用した迅速病害虫診断技術の開発

 

技術開発の経緯 

 農業生産現場において病害虫診断には充分な経験と専門的な知識が必要だが、経験が浅い農業者が病害虫の診断を迫られることが増えている。一方、近年のイノベーションにより、医療分野では病変を検知する人工知能(AI)が開発・実用化され、その識別技術は高度化している。

そこで、当センターは、新たに栽培を始めるケースが多いイチゴ、トマト、キュウリ及びナスでAIによる識別技術を農作物病害虫の診断に活かすため、農林水産省委託事業に参画し、病害虫AI診断アプリを開発した。

 開発技術の内容

ア イチゴ、トマト、キュウリ及びナス栽培で問題となる病害虫50種の識別モデルを開発し、80%以上の精度を達成した。

イ 本研究により得られた成果を活用して開発された識別モデルは、日本農薬(株)のスマホ用アプリ「レイミーのAI病害虫雑草診断」に追加され、すべてのスマホで無料利用できる。

ウ 開発されたアプリには、品目、病虫害の別及び対象部位の選択及び対象部分を拡大するトリミング機能が搭載され、識別モデルの持つ機能を最大限に活かした高精度診断ができる。   

エ 開発した識別モデルは農研機構が運営するWAGRIを通じて農業情報サービス企業に提供されている。

 

期待する効果 

 全国的に需要が高く、新たに栽培を始めるケースもあるイチゴ、トマト、キュウリ及びナス栽培で、農業者による迅速な診断・防除を促進する効果が期待される。