開発技術名

 スマートフォンを利用したレタスの生育出荷予測アプリケーションの開発

 

技術開発の経緯 

 淡路地域では、13月の厳寒期を中心にレタスが生産されており、秋~春までの長期出荷産地となっている。レタスの販売側では拡大する加工・業務用需要や市場での相対取引の増加により、出荷量をより正確に把握したいニーズが高まっている。一方、近年多発する異常気象の影響により、生産側では生育診断技術へのニーズも高まっている。そこでスマートフォンを用い、手軽にレタスの出荷時期を予測できるアプリケーション(以下、アプリ)を開発した。

 

開発技術の内容

ア AIによる葉齢推定(前後1葉齢を正解に含む平均判別率90.9%)と気象データに基づく葉齢増加モデル(各品種の決定係数R0.830.95)を組み合わせ、スマートフォンのカメラで画像を撮影し、画像撮影時の生育状況を時点修正することにより、レタスの収穫日が予測できる。101月どりレタスにおける予測日の誤差は平均±2日以内である。

イ 開発したアプリを利用し、生産者がレタスの品種、定植日、被覆開始日、圃場面積、位置情報をスマートフォンに登録し、定植23週間後に中庸な生育のレタス1株を上面1mの高さから撮影枠に収まるよう鉛直下向きに撮影することにより、AIと気象予報データから収穫日を予測できる。

ウ アプリには収穫日予測に加えて、生育の前進や遅れなどを日単位で知ることができる生育診断機能が付与されており、生育の良否を判断することができる。

エ アプリの保守運用コストは年間60万円で1000アカウント、4000筆程度まで登録可能である。アプリでの予測結果を集計する機能に加え、定植日などの情報を一括でアップロードし収穫日を予測する機能も開発済みであり、JAの販売部門等で活用できる。

 

期待する効果 

 収穫日予測データを集計することで、産地全体のより正確な出荷量の把握が可能で、特に収穫適期を逃しやすい春どりレタスの品質向上につながり、有利販売による産地の収益性向上が見込まれる。