開発技術名
反応時間を利用した凍結精液の簡便な性選別法
技術開発の経緯
遺伝的多様性に配慮した種雄牛造成に取組んでいるものの、近交係数は上昇し続けている。遺伝的多様性の確保において、性選別精液の利用は有効な手法であり、適宜必要な血統構成の雄子牛、雌子牛の生産ができることで、改良の加速化や効率的な肥育素牛生産が期待できる。現在、DNA量の違いを利用したフローサイトメーターによる性選別精液の作製が実用化されているが、高額な機器とライセンス契約が必要で、汎用性は極めて低い。そのため、県レベルで実施できる簡便で安価な性選別法の検討が望まれている。近年、X精子細胞にのみ発現する受容体が新たに発見されたことから、但馬牛凍結精液でこれらの受容体を利用した性選別処理法を検討した。
開発技術の内容
ア 凍結精液の性選別処理における手法として混和法と上のせ法により、様々な反応時間(15,30,45,60分)を検討したところ、混和法において、精子回収率は15分、受精率は30分、雄胚比率は45分が最も高い。
イ 上のせ法においては、精子回収率は15分、受精率は45分、雄胚比率は45分が最も高い。
ウ どちらの手法も回収率は反応時間が短い15分が高く、雄胚比率は45分が高い結果である。
エ 反応時間45分の雄胚比率は混和法が73.7%、上のせ法が58.1%と、混和法が約15%高い。
期待する効果
県レベルで実施可能な簡便で安価な性選別法の開発