開発技術名
但馬牛去勢牛への最適な濃厚飼料の給与回数と間隔
技術開発の経緯
肥育牛の飼料構成は、乳牛に比べ濃厚飼料割合が極端に大きいため、日内での濃厚飼料給与回数の増加は第一胃液pHの上昇を抑制し、第一胃内での繊維分解がすすまなくなることが懸念される。今後、省力化のために自動給餌機導入が普及していくことも考えられ、濃厚飼料給与回数と間隔の違いが第一胃内環境および産肉性に及ぼす影響を明らかにしていく必要がある。そこで、自動給餌機を用い、濃厚飼料を慣行の2回(10:00と16:00)給与する2回給与区と1回(10:00)の1回給与区と6時間毎に4回(10:00、16:00、22:00、4:00)の4回給与区を設定した。また、第一胃液pHの日内変動域を第一胃内細菌にとって至適pHである6.1~6.7(至適域)、活動の制限や死滅のおそれのあるpH5.6未満(危険域)、5.6~6.1を中間域とした。
開発技術の内容
ア 1回給与区は日内変動が大きく、危険域の時間がみられる。4回給与区は安定的に推移するが至適域を下回る。2回給与区は中間域から至適域の間でpHの日内変動が認められる。
イ 飼養成績では、濃厚飼料摂取量、1回平均増体量および枝肉重量の区間に有意な差は認められないが、いずれも2回給与区が最も高い。
ウ 安定した飼料の摂取と発育のためには、濃厚飼料の摂取による第一胃液pHの著しい低下を避 けながら、穏やかにpHを上昇させる時間を設けることが重要であり、但馬牛去勢牛への最適な濃厚飼料の給与回数と間隔は、濃厚飼料を2回以上に分けて給与し、1日の間で給与しない時間帯を12時間以上設ける必要がある。
期待する効果
生産現場における飼養管理技術の向上が期待できる。