当センターの各部署が順に担当して、特徴的な試験研究等の実施状況を紹介します。今回は北部農業技術センター 研究員 坂田秀朗が担当します。
丹波黒は煮豆などに利用する子実として有名ですが、エダマメとしても大変人気があります。その特徴は粒の大きさと独特の甘みです。毎年10月にエダマメ出荷が解禁されると兵庫県の各地で販売が盛んに行われます。実は、黒大豆エダマメの味や色は収穫時期によって変化していきます。どういった変化が起こっているのか見ていきましょう。
まず、エダマメの甘さに関係するショ糖含量は10月上旬から中旬にかけて増加し、その後下旬にかけて減少します(図1)。
一方、子実色(中身の豆の色)は鮮やかな緑色から10月中旬にかけて赤みを増していき、収穫後期には赤みの強い子実となります。10月下旬以降、赤紫色、黒色へと変化していきます(図2)。
これはポリフェノール類の一種であるアントシアニン色素によるものです。実が熟すとともにアントシアニン色素が増加し、色の変化を引き起こします。10月下旬のエダマメはポリフェノール類の苦渋味と糖類の甘みが合わさり、味に深みが出ます(図3)。
また、エダマメは茹(ゆ)でることで赤みが薄れ、最終的に黒大豆エダマメでよく見られる黒みがかったエダマメになります(写真)。
黒大豆エダマメに起こる収穫時期ごとの変化の特徴をまとめると、
10月上旬 :鮮やかな緑色でみずみずしく、弾力のある噛(か)み応え
10月中旬 :甘みが強く、豆は少し黒みを帯びる
10月下旬 :ポリフェノール類が増加し、味に深みが出る
黒大豆エダマメは収穫時期によって異なる味わいを楽しめることがお分かりいただけたかと思います。ぜひ、それぞれの味の違いを堪能してみてください。
今後も県産農産物の品質特性の解明、加工技術の開発に努め、付加価値の向上やブランド力の強化に繋がるような取り組みを進めていきます。