開発技術名
「被覆尿素の基肥播種溝施用による「せときらら」高タンパク化省力施肥法」
技術開発の経緯
小麦の高タンパク化栽培では、パン用として11.5%以上の子実タンパク質含有率を得るために3~4回の追肥を実施する施肥体系が一般的である。一方、施肥作業の省力化や肥効の安定化を図るために肥効調節型肥料を用いた省力施肥技術が求められている。そこで、パン用小麦「せときらら」において、収量と子実タンパク質含有率の高位安定化をめざした省力施肥体系を確立する。
開発技術の内容
ア 生育量確保に効果のあるリニア型「LP20」、子実タンパク質含有率を12%以上に高めるシグモイド型「LPS40」の2種類の被覆尿素を1:4の割合で配合した肥効調節型窒素肥料(41-0-0)を基肥として用いる。
イ 11月中旬播種期の「せときらら」において、播種溝に種子と同時に窒素成分20kg/10aの配合被覆尿素を全量局所施肥し、2月上旬の分げつ期には、基肥からの窒素肥効を補うために、高度化成(14-14-14)を窒素成分で5.6kg/10a追肥して茎数を確保する。
ウ その後の穂肥と実肥を省略した基肥-分げつ肥のみの省力施肥体系において、慣行の4回分施体系(基肥-分げつ肥-穂肥-実肥:窒素成分24kg/10a相当)と同等の生育、収量と子実タンパク質含有率が得られる(収量650kg/10a、子実タンパク質含有率12%)。
期待する効果
窒素肥料分の約8割を播種溝に被覆尿素で局所施肥しているので作物体の生育が均一となり、施肥回数を削減しながら、収量と子実タンパク質含有率の高位安定化が図れ、子実タンパク質含有率の高位安定化が必須となる他品種への応用も可能である。また、硫安の多量施用による土壌酸性化を緩和し、雑草生育期に追肥しないことで雑草の生育が抑制され、コンバインによる収穫作業性の向上が見込める。
連絡先
農業技術センター農産園芸部 0790-47-2412 (作成者:牛尾 昭浩)