開発技術名

「ダイズモザイクウイルス病に強い黒大豆新品種「兵系黒4号」の育成」

 

技術開発の経緯

 「丹波黒」栽培地域ではウイルス病害(特にSMV)が多発生し、減収傾向にあった。また、エダマメ栽培ではSMV由来の茶斑莢が発生することにより品質が低下していた。そこで、篠山農業改良普及センター(現・丹波農業改良普及センター)から要望提案を受け、平成14年度から丹波黒に対する病害抵抗性付与のための遺伝資源の探索と、交配による抵抗性系統の育成を開始した。平成19年度からも抵抗性品種の育成に対する要望を受け、切葉接種とELISA診断の組合せによる複数のSMV系統に対する抵抗性の同時検定と高精度DNAマーカーを活用して、SMV抵抗性黒大豆系統「兵系黒4号」を育成した。

 

開発技術の内容

ア 東山黒175号(SMV抵抗性)/丹波黒(兵系黒3号)に兵系黒3号を2回戻し交配して選抜した品種であり、兵系黒3号の遺伝的背景は93.8%である。
イ 兵系黒3号よりも約8日早熟であり、SMVに対して強い抵抗性を示す。兵系黒3号よりも多収(117%,平成25~27年度平均値)であるが、百粒重(67.7g,同平均値)がやや小さい。
ウ 子実形状は球状に近く、浸漬後重量増加比、破断荷重、破断歪率は兵系黒3号とほぼ同等であるが、破断エネルギーがやや大きい。枝豆官能評価は兵系黒3号と差は無い。
エ 丹波黒判別用のDNAマーカーを保有する。SMV抵抗性遺伝子Rsv1に連鎖した6マーカー、Rsv3に連鎖した7マーカーを保有する。

 

期待する効果

 今回得られた新系統をSMV多発生地域で利用することで、黒大豆安定生産と品質向上に貢献できる。

 

連絡先

 農業技術センター農産園芸部 0790-47-2412 (作成者:杉本 琢真)