開発技術名

「高精度DNAマーカーを利用した茎疫病抵抗性黒大豆品種の開発」

 

技術開発の経緯

 丹波黒は立枯性病害である茎疫病に抵抗性を持たないため、本病が蔓延すると大幅な減収につながり、生産現場からは防除対策が強く求められていた。そこで、篠山農業改良普及センター(現・丹波農業改良普及センター)から要望提案を受け、平成14年度から丹波黒に対する病害抵抗性付与のためのダイズ遺伝資源の探索と、交配による抵抗性系統の育成を開始した。さらに、平成19年度からも引き続き抵抗性品種の育成に対する現地からの要望を受け、茎疫病抵抗性に関する高精度DNAマーカーを開発し、抵抗性についての効率的な選抜を行うことで、全国に先駆けて茎疫病抵抗性黒大豆系統を育成した。

 

開発技術の内容

ア 平成17年度に育成したGH-11{ゲデンシラズ1号(茎疫病抵抗性)// 丹波黒(兵系黒3号)}に対して兵系黒3号をさらに2回交配し、合計4回戻し交配した系統で、兵系黒3号の遺伝的背景は97%である。
イ 兵系黒3号より約2日早熟であり、茎疫病に対して強い抵抗性(発病率0%,平成23~25年度平均値)を示す。兵系黒3号よりやや多収(118%,同平均値)であり、百粒重は同等(69.7g,同平均値)である。
ウ 子実形状は球状に近く、煮豆特性項目としては浸漬後重量増加比、破断荷重、破断歪率は兵系黒3号とほぼ同等である。枝豆官能評価は兵系黒3号と差は無い。
エ 丹波黒判別用のDNAマーカー(Satt277, Satt288, Satt168, Satt590)のマーカー型は兵系黒3号と同じである。茎疫病抵抗性遺伝子に連鎖した5種類のDNAマーカー(Sat_186_H25,Raso1-Satt009OPT, Sc125-179, Satt641-1, Sc125-113)は抵抗性のマーカー型を示す。

 

期待する効果

 今回得られた新系統を茎疫病多発生地域で利用することで、黒大豆安定生産に貢献できる。

 

連絡先

 農業技術センター農産園芸部   0790-47-2412