開発技術名
「乳中脂肪酸組成による泌乳牛の乾物摂取量推定」
技術開発の経緯
泌乳牛の乾物摂取量(DMI)は飼養管理指標として最も重要な項目であるが、酪農家での把握は困難であった。しかし、乳中脂肪酸組成(MFA)からメタン(CH4)排出量を推定できることが報告されており、CH4排出量はDMIとも関連していることから、MFAからDMIを推定できる可能性がある。乳成分分析装置でMFAが迅速に推定できるようになったことから、MFAから多変量解析によりDMIを推定する技術を開発した。
開発技術の内容
ア 群飼自由採食では下記の泌乳期区分ごとの推定式を用いる。
泌乳最盛期(8週)までDMI=-11.892+0.714×週次+0.323×乳量+1.139×SNF%+0.777×C14:0(R2=0.863)
泌乳中・後期 DMI=6.393+0.037×週次+0.429×乳量-5.465×C4:0+0.355×C16:0-0.209×C18:1(R2=0.689)
イ 分離給与では乳量に応じた給与量になっていないので、乳量を説明変数から除外した下記の泌乳期区分ごとの推定式で余剰摂取量(RDMI)を見積もり、日本飼養標準(2017年版)の推定DMI量に加算する。
泌乳最盛期(8週)までRDMI=-4.386-0.773×産次+0.354×週次-0.009×体重-1.560×Fat%+1.7510×Pro%+0.776×C14:0+0.242×C18:0
泌乳中・後期 RDMI=10.7+0.502×産次-1.422×Fat%+1.343×Pro%-2.690×C4:0-0.236×C18:1
期待する効果
飼養管理や牛舎環境の改善によりDMIを牛の要求量に合致させ、生乳生産を10%増産する。
連絡先
淡路農業技術センター畜産部 0799-42-4880 (作成者:生田 健太郎)