開発技術名

「肥育豚及びブロイラーへの飼料用米の多給技術」

 

技術開発の経緯

 我が国において食料・飼料自給率の向上が緊急かつ重要な課題となっており、その対策として飼料用米の生産が奨励されている。そこで、飼料用米を輸入トウモロコシの代替として肉豚と肉用鶏に多給し、発育・と体品質並びに肉質への影響を調査して、飼料用米多給のための技術開発を行い、飼料用米の利用促進を図ることとした。

 

開発技術の内容

ア 肥育豚においては肥育前期(体重約30kg)から粉砕籾米・粉砕玄米を配合飼料中のトウモロコシと100%まで代替給与しても、発育やと体成績、肉質成績に悪影響を及ぼさない。
イ 米に多く含まれるオレイン酸により脂質が改善される。粉砕玄米給与では皮下脂肪のオレイン酸割合が45.2%であり、トウモロコシ給与(42.9%)よりも有意に高い。
ウ 飼料用米が安価であり飼料費が低減できる。粉砕籾米及び粉砕玄米が二種混トウモロコシ(60.1円/kg)よりも30.7円及び4.7円安い場合、1頭当たりの飼料費はそれぞれ5,314円及び1,478円安くなる。
エ ブロイラーにおいては初生時から全粒籾米・全粒玄米を配合飼料中のトウモロコシと100%まで代替給与しても、発育やと体成績、肉質成績に悪影響を及ぼさない。
オ 米に多く含まれるオレイン酸により脂質が改善される。玄米給与ではもも肉のオレイン酸割合が43.3%であり、トウモロコシ給与(38.7%)よりも有意に高い。
カ 飼料用米が安価であり飼料費が低減できる。籾米及び玄米が二種混トウモロコシ(60.1円/kg)よりも41.2円及び32.0円安い場合、1羽当たりの飼料費はそれぞれ133円及び71円安くなる。

 

期待する効果

・養豚・養鶏農家での飼料用米利用促進、給与農家戸数の増加が図れる。
・県内の飼料自給率が向上する。18%(H20)→28%(H32)
・県内の飼料用米作付面積が拡大する。(H25年度実績見込み:126ha→200ha)

 

連絡先

 畜産技術センター家畜部  0790-47-2430 (作成者:龍田 健)