開発技術名

「土づくりによる黒大豆、山の芋のカドミウム吸収抑制技術」

 

技術開発の経緯

 食品中のカドミウム濃度について、コーデックス委員会により2007年に基準値が設定され、国際的に取引される食品の基準となっている。国内でも麦、大豆、野菜類の国内基準値の設定が検討されており、白大豆や主要な野菜類については、全国的な研究の結果その吸収特性が明らかになりつつある。一方、本県特産作物では吸収特性の解明が不十分で、リスク低減技術も確立されていない。そこで本県特産の黒大豆と山の芋、小豆について、可食部カドミウム濃度0.2ppm(黒大豆)、0.1ppm(山の芋、小豆)を想定し、カドミウム吸収リスクを明らかにするとともに、有効なカドミウム吸収抑制技術の開発を行った。

 

開発技術の内容

ア 3品目のカドミウム吸収リスクは土壌のカドミウム濃度、pH、全炭素(腐植)含量から推定できる。小豆についてはカドミウム吸収が低く、本開発技術を用いなくとも栽培できる。
イ アルカリ資材の施用により、土壌pHを6.5~7.0程度に調整すると、土壌中でカドミウムの溶解度が下り、吸収が抑制される。
ウ 有機質資材の施用により、腐植を3.5~5%程度にすると、土中のカドミウムは有機物と結合して作物に吸収されにくくなる。
エ これらのカドミウム吸収が低減される土壌条件は各品目の生育好適条件や土づくりの目標値とほぼ一致する。生産性向上のための土づくり(堆肥2~3t/10aやアルカリ資材100kg/10a程度施用)の継続により、生産性向上とカドミウム吸収抑制が両立する。

 

期待する効果

 国内での食品中のカドミウム基準値が設定された場合の特産物の吸収低減技術となる。

 

連絡先

 農業技術センター農産園芸部  0790-47-2423  (作成者:牧 浩之)