開発技術名
「小ギクの収穫後の品質保持処理と低温管理による出荷調節技術」
技術開発の経緯
小ギクは盆や彼岸など特定の日(物日)に需要が急増し、これに対応した出荷が求められる。切り花は収穫後、葉の黄変やしおれ、開花の進行が問題になるが、これらの品質低下を防ぎ、収穫後1週間程度の品質管理が可能になれば、需要期の安定的な出荷が可能となる。そこで、品質保持処理と低温管理を組み合わせ、収穫後の品質を維持できる出荷調節技術を開発した。
開発技術の内容
ア 葉の黄変は、温度23℃以上かつ暗黒の条件で促進される。黄変抑制には濃度0.1mMのSTS(エチレン作用阻害剤)前処理を10時間行うのが有効である。
イ 機能性ダンボール(内側に低透湿性のプラスチックフィルムが貼り付け加工され高湿度を維持できる)の利用により、慣行のダンボールに比べ低温管理後の切り花のしおれを軽減できる。
ウ STS前処理及び機能性ダンボールの利用により、低温管理(5℃、7日間)後でも、採花後に水あげし慣行ダンボールを利用する場合と同等以上の品質及び日持ち性のある切り花を供給できる。
エ 低温管理後の輸送時や市場管理時に温度が25℃以上にならないように管理する。25℃以上の温度に遭遇すると、葉の黄変や傷みが発生しやすくなる。
オ STS(商品名:クリザールK-20C、500mL)は4000円程度、機能性ダンボールは1箱400円程度で、資材費は1箱100本入りで切り花1本当たり4.1円程度(従来2.0円程度)である。
期待する効果
農家やJA等で低温管理することにより、出荷日を最長7日間出荷調節できる。
連絡先
農業技術センター農産園芸部 0790-47-2424 (作成者:水谷 祐一郎)