開発技術名

「ゲノミック評価導入による牛群能力改善技術の開発」

 

技術開発の経緯

 酪農の経営安定化には乳牛の遺伝的能力を把握して改良することが不可欠である。近年、新しい遺伝的能力の判定方法として従来の推定育種価(EBV)に遺伝情報を加えたゲノミック評価が利用され初めているが、ゲノミック評価値と実際の能力との関係やゲノミック評価の導入による牛群改良効果について現場レベルで検証した報告は少ない。このことから、淡路農業技術センターで飼養する乳牛を用いて、ゲノミック評価の導入効果を検証する。

 

開発技術の内容

・未経産時のゲノミック評価値(GPI)における、乳量評価値と実際の305日乳量には中程度の相関(r=0.39)があり、305日乳蛋白率、305日乳脂率には評価値との

 強い相関(r=0.72, 0.70)が認められ、評価値と実際の成績には良好な相関がある(各形質n=32)

・未経産牛時点でのゲノミック評価値(GPI)と初産後の遺伝評価値(GEBV)の相関は、総合指数であるNTP (r=0.86)、乳脂率(r=0.98)、乳蛋白率(r=0.97)

 乳量 (r= 0.92)それぞれで強い相関が認められた(各形質n=22)。以上のことから、後継牛を選抜する判断基準としてGPIが有効である。

・育成牛のゲノミック評価値の%ランク*の推移は、2017年から2020年までにNTP*が上位49.8%から27.6%に向上し、また、疾病繁殖成分も上位59.9%から

 40.2%に向上しているため、評価の活用によって能力を早期に把握し、積極的な改良を行うことが可能である。 

 

   %ランク:全国でゲノミック評価を受けている牛のうち、評価値が上位何%に位置するかを示す。

  NTP: 産乳成分、繁殖疾病成績、耐久性成分が含まれる総合指数。

 

期待する効果

 ゲノミック評価利用農家数の増加による、県内乳牛の能力と長命性の向上。

 

連絡先

 淡路農業技術センター   畜産部 0799-42-4935 (作成者:榊原 啓太郎)