開発技術名

「過冷却促進物質を用いたイチジクの長期鮮度保持技術」

 

技術開発の経緯

 イチジクは収穫後の鮮度保持期間は常温(25℃、9月平均気温)で1日程度と非常に短く、広域流通が困難である。従来の鮮度保持技術である05℃の冷蔵では510日程度と十分ではない。近年、農産物を過冷却下(本来、物質が凍結する温度でも凍結しない状態)で保持することにより、鮮度保持期間を大きく伸ばす可能性が示唆されていることから、イチジクにおいて過冷却促進技術の適用に取り組んだ。

 

開発技術の内容

ア 通常、-2℃貯蔵では1020%果実が凍結するが、過冷却促進物質であるコーヒーエキスを収穫7日前から1日おきに4回樹上散布(100倍液を1果実あたり

 10ml)することにより、冷蔵中の凍結を完全に防ぐことができる。コーヒーエキス散布による品質への影響はみられない。

イ 過冷却促進物質を散布した果実は収穫後、-2℃で貯蔵することで20日程度の鮮度保持効果が認められる。

ウ 過冷却物質の散布費用(作業労力除く)は1果当たり8円を要する(試薬ベース)。

 

期待する効果

 イチジクの鮮度保持技術として今後、実用化を検討する。また、鮮度保持期間の短い他の青果物への適用の可能性とともに、晩霜害防止等への応用技術も期待できる。

 

連絡先

 北部農業技術センター農業・加工流通部  079-674-1230  (作成者:小河 拓也)