開発技術名
「樹種別の根系引き抜き抵抗力」
技術開発の経緯
樹木の崩壊防止力を評価するには根系引き抜き抵抗力が欠かせない。その根系引き抜き抵抗力は樹種ごとに違いがあるとともに土質に左右されることが少ないことが知られている。従って、様々な樹種の崩壊防止力を明らかにするため、樹種ごとの根系引き抜き抵抗力のデータベースを作成することが求められている。そこで、兵庫県の里山に存在する樹木および植栽される樹木のうち、高木種7種(スギ・ヒノキ・クロマツ・コナラ・ケヤキ・アラカシ・ツブラジイ)、小高木2種(リョウブ・ソヨゴ)、低木種5種(ミツマタ・アセビ・モチツツジ・コバノミツバツツジ・ヒサカキ)の根系引き抜き抵抗力を調査した。
開発技術の内容
ア 14種の中ではケヤキの引き抜き抵抗力が高く、続いてツブラジイ、コナラ、スギ、アラカシ、ヒノキの順である。
イ 小高木、低木種よりも高木種の根系引き抜き抵抗力が高い傾向が見られ、ミツマタ、モチツツジはヒノキの同じ太さの根(直径20mm)と比べると20%程度
の引き抜き抵抗力である。一方でアセビのように、高木種であるヒノキとほぼ同等の引き抜き抵抗力を持つ低木種がある。
ウ 森林の崩壊防止力を検討するにあたり、高木種による森林づくりが最も崩壊防止力が高くなる。また、引き抜き抵抗力が高い低木種を植栽することで、崩
壊防止力の高い低木林を造成することもできる。
期待する効果
樹種ごとに崩壊防止力の大小を評価することが期待できる。
連絡先
森林林業技術センター 森林活用部 0790-62-2118 (作成者:藤堂 千景)