開発技術名

「山地災害リスクを考慮した森林計画支援技術」

 

技術開発の経緯

 集中豪雨の増加等により山地災害発生リスクが高まる一方、人工林の成熟化により森林伐採量の増加が見込まれており、防災と林業経営を両立する森林管理技術が求められている。

 そこで、山地災害の危険性と林業の収益性を考慮した新たな森林計画支援技術の開発を(独)森林総合研究所、岩手大学他3大学、長野県林試他4県林試、民間企業3社の13者で進める。

 

開発技術の内容

 ア 山地災害リスクに応じて林業経営を行う「適地適業」を目指し、山地災害リスクと林業収益性の両面から林地を評価する手法を開発し、その有効性等を検証

   した。

 イ GIS(地理情報システム)を活用し、地形情報(航空レーザー測量から得られる数値標高モデル(DEM)データによる傾斜図、地形判読を容易にするC

   S立体図、崩壊の恐れが高い箇所を示すSHC図、地すべり地形分布図、地質図等)と林業の収益性を評価する情報(林道等からの距離、地位指数※、傾

   斜に応じた伐採等施業方法等)を組み合わせ、地図画像を重ね合わせる等して、収益性や災害リスクの高低毎に区分(ゾーニング)を行うことができる。

                                         ※林地の生産力を示す指標のひとつで、40年生時の樹高で評価・分類

 ウ 県下2箇所の林業事業体の協力を得て、町域を単位のゾーニング図の作成と作業道整備計画の作成を行い、この手法の実用性や有効性を検証した結果、利用

   に際し、高度な地形判読技術を要しないほか、SHC図を利用して容易に崩れやすい箇所を絞り込めること、安全な作業道計画の策定には、CS立体図と傾斜

   図が不可欠である等と評価され、現場での実用性等が高いことが確認できた。

 

 【参考】 開発技術を利用する際には、パソコンさえあれば追加経費負担なし

   航空レーザー測量による数値標高モデル(DEM)データやCS立体図、地すべり地形分布図、地質図は県等が公開済。作成が必要なSHC図も日本森林技術協

   会の無料ソフトで作成可。

   種々のGISの中でも、無料のQGISで対応可

 

期待する効果

   山地災害リスクを考慮した市町村森林整備計画や森林経営計画の策定の推進。

   林業事業体による山地災害リスクを考慮した伐採計画や路網計画の作成。

 

連絡先

   森林林業技術センター 森林活用部 0790-62-2118 (作成者:髙山 勉)